【熊本消防設備点検】連結送水管の耐圧試験とは?対象となる建物と実施のポイント

高層ビル、商業施設、マンションなど、多くの人々が利用する建物においては、万一の火災発生時に備えた設備・機能の維持が非常に重要です。

中でも、建物の各階まで消火用水を確実に送るための「連結送水管(れんけつそうすいかん)」は、普段は見えない場所にありますが、火災時には命を守るための大切な設備です。

この記事では、この連結送水管の役割や、点検・試験の必要性についてわかりやすく解説します。

 


 

 

ポイント説明

 

 

1. 連結送水管とは

 

連結送水管は、建物外の「送水口」から消防車などで水を送り込み、建物内部の配管を通して各階の「放水口」まで水を送るための消火用配管システムです。

消防隊が建物内へ速やかに放水できるようにするもので、火災初期の消火活動を大幅に支援します。

 


 

 

2. 設置が義務付けられている建物

 

連結送水管は、すべての建物に設置が必要なわけではありません。

消防法令では、次のような建物に設置が義務付けられています。

 

  • 地上5階以上の建物(地階を除く)で、延べ面積が6,000平方メートル以上のもの
  • 地上7階以上の建物(地階を除く)
  • 延べ面積が1,000平方メートル以上の地下街
  • 長さが延べ50メートルを超えるアーケード

 

これらの建物は構造が複雑で、火災発生時に消防隊が建物内部までホースを引き込むのが難しいため、内部に水を送るための配管設備が必要とされています。

 


 

 

3. なぜ点検・試験が必要か

 

連結送水管は、普段は使用されない設備ですが、非常時に確実に作動することが求められます。

経年によって配管の腐食や漏水、バルブの不具合が起こることがあり、それらを放置すると、火災時に送水できないなど重大な支障を招くおそれがあります。

そのため、消防法により「耐圧試験(静水圧試験)」などの定期点検が義務付けられています。

 


 

 

4. 主な点検・試験の内容

 

 

  • 試験圧力:設計送水圧力の 1.5倍 の水圧をかけて確認します。
  • 保持時間:圧力をかけた状態で 3分間、圧力変化や漏れがないかを確認します。
  • 実施時期:設置から 10年後に初回試験 を行い、その後は 3年ごと に定期的に実施します。
  • 報告義務:試験結果は所轄消防署へ報告する必要があります。報告を怠ると、行政指導や罰則の対象となる場合もあります。

 

 


 

 

5. 点検を怠るとどうなるか

 

耐圧試験を実施していない連結送水管では、火災時に水が送れなかったり、配管が破裂するなどの事故につながるおそれがあります。

また、消防法に基づく報告を怠ると、建物管理者が指導・処分の対象となる場合もあります。

定期的な試験を確実に実施し、いつでも作動できる状態を維持することが、安全管理の基本です。

 


 

 

まとめ

 

連結送水管は、普段は使われないからこそ、定期的な確認と維持管理が欠かせません。

設置基準に該当する建物の管理者は、法令に基づいた試験・報告を確実に行い、「確実に使える状態」を維持することが重要です。

火災時の被害を最小限に抑えるためにも、日頃からの備えが大切です。

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