意外なところに潜む火災の危険~収れん火災とトラッキング火災~
日常の中で思わぬ火災を引き起こす原因のひとつに、「収れん火災」や「トラッキング火災」があります。どちらも、気づかないうちに発生し、初期段階ではほとんど音も煙も出ない“静かな火災”として知られています。
🔥 収れん火災とは
ペットボトルが火災の原因になるのは「収れん火災」という現象によるものです。これは、水の入ったペットボトルがレンズの役割を果たし、太陽光を一点に集めることで、可燃物に引火して発火するものです。
この現象は、夏だけでなく太陽の高度が低くなる冬場にも起こりやすく、注意が必要です。
目次
収れん火災の発生メカニズム
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レンズ効果:水が入ったペットボトルやガラス玉が凸レンズのように太陽光を屈折させ、一点に集めます。
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集光点の発熱:光が集中した場所の温度が上昇し、可燃物が蓄熱して引火します。
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火災の発生:カーテンや新聞紙など、燃えやすいものが近くにあると火災に至ります。
収れん火災の防止対策
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室内での注意:窓際にペットボトルやガラス製品を置かない。外出時・就寝時はカーテンを閉める。
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屋外での注意:猫よけなどで置いたペットボトルを放置しない。可燃物(落ち葉や新聞紙)付近に置かない。
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車内での注意:ダッシュボードや運転席周りにペットボトルを置かない。
⚡ トラッキング火災とは
「トラッキング」とは、コンセントとプラグの間にホコリがたまり、湿気を帯びて通電することで、最終的に火災に至る現象(トラッキング現象)のことです。
この現象によって発生する火災を「トラッキング火災」といいます。
トラッキング現象が起こる仕組み
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ホコリの蓄積:コンセントとプラグの隙間にホコリが溜まる。
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湿気の付着:溜まったホコリが空気中の湿気を吸収。
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通電と放電:ホコリが電気を通し、小さなスパークが繰り返される。
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発熱・発火:プラグが炭化し、電気の通り道(トラック)ができて発火する。
トラッキング火災の特徴
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電源がOFFでも発生する。
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見えない場所で静かに進行する。
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カーテンやカーペットなど可燃物への引火で被害が拡大することも。
トラッキング火災の防止対策
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こまめな清掃:コンセントやプラグ周辺のホコリを定期的に掃除。
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プラグを抜く:長期間使わない家電はコンセントから抜く。
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未使用コンセントを塞ぐ:差込口カバーを活用する。
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古い電源タップの交換:劣化が見られる場合は新品に交換。
まとめ
「収れん火災」も「トラッキング火災」も、日常生活のちょっとした油断から起こる火災です。
どちらも特別な装置や大掛かりな設備が原因ではなく、「身近な環境」が引き金になる点が共通しています。
ペットボトルやコンセント周りなど、普段何気なく使っている場所を一度点検してみましょう。
日々のちょっとした意識で、大きな火災を未然に防ぐことができます。