なぜ消火器は赤い?そして二酸化炭素消火器は緑と赤の2色なのか?

はじめに

普段、私たちの目にする「消火器」は真っ赤な印象があります。

しかし実は、すべての消火器が完全な赤色でなければならないというわけではありません。

消防法や高圧ガス取締法など、法律で細かく色の割合が定められているのです。

本記事では、消火器の色に隠された意味と、なぜ二酸化炭素(CO₂)消火器だけが緑色を含むのかをわかりやすく解説します。


消火器が「赤い」理由

消火器が赤いのは、火災時にすぐ目に付くようにするためです。

炎や煙の中でも視認性が高く、誰でも瞬時に見つけられるようにするために、赤色が採用されています。

消防法では、次のように定められています。

業務用消火器の本体の表面積の25%以上を赤色にしなければならない。

つまり、25%以上が赤であれば残りは他の色でも構わないということです。

実際、デザインや用途によって黒や銀などの色を取り入れた製品も存在します。

家庭用の消火器は色の規定はありません。


二酸化炭素消火器はなぜ「緑と赤」?

二酸化炭素(CO₂)消火器をよく見ると、本体の一部が緑色になっています。

これは単なるデザインではなく、法律によって義務付けられた色分けです。


■ 高圧ガス取締法による規定

二酸化炭素消火器の容器は、「高圧ガス容器」をそのまま使用しています。

そのため、「高圧ガス取締法 容器保安規則 第10条」により、ガスの種類ごとに塗色が定められています。

容器表面積の1/2(50%)以上を、ガスの種類に応じた色で塗らなければならない。

二酸化炭素ガスの場合、その色は「緑色」。

つまり、容器の50%以上を緑色に塗装しなければならないのです。


消防法 × 高圧ガス取締法の組み合わせ

ここでポイントになるのが、2つの法律が同時に適用されるということ。

適用法令

対象

塗色の基準

消防法

業務用消火器

表面積の25%以上を赤色

高圧ガス取締法

高圧ガス容器

表面積の50%以上をガスごとの色(CO₂は緑)

したがって、二酸化炭素消火器は「赤+緑」という特徴的な色になっています。

赤は「消火器としての識別」、緑は「高圧ガス容器としての識別」——

両方の法令に適合するための合理的なデザインなのです。


消火器の色に込められた安全のメッセージ

一見シンプルな色分けにも、法律と安全の仕組みがしっかり隠れています。

火災時にすぐ見つけられる赤色、

そして中身のガスを一目で判断できる緑色。

それぞれの色には、「いざという時の安全を守るための意味」があるのです。


まとめ

  • 🔴 赤色:消火器として目立つように(消防法・25%以上)

  • 🟢 緑色:高圧ガス(二酸化炭素)であることを示す(高圧ガス取締法・50%以上)

  • ⚖️ 両方の法令により、全体の75%以上が指定色(赤+緑)になるよう義務付けられている

また、粉末消火設備などで使用される起動用ガス容器は、消火器とは異なり「高圧ガス取締法」のみの対象です。

そのため「緑色のみ」で塗装されているものが多く見られます。

このように、消火器の色には単なるデザインではなく、

法律に基づいた安全性のルールがしっかりと反映されています。

普段何気なく見ているその赤と緑にも、命を守るための意味があるのです。

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