防火管理者とは?わかりやすく解説|役割・資格・選任義務まで
防火管理者とは、学校・病院・商業施設・オフィスビルなど、多くの人が利用する建物において、火災による被害を防ぐための責任者です。
消防法により、一定規模以上の建物では防火管理者の選任が義務付けられています。
主な業務は以下のとおりです。
🔸消防計画の作成・届出
🔸消火・通報・避難訓練の実施
🔸消防用設備の点検・整備
🔸火気使用の監督
🔸避難経路・避難口の維持管理
🔸収容人員の把握と管理
これらの業務を通じて、火災を「起こさない」「広げない」「安全に避難できる」環境を整えます。
目次
防火管理者が必要な建物
消防法では、防火管理者を置く義務がある建物を防火対象物と呼びます。
対象は主に以下の2つです。
【特定防火対象物】
不特定多数の人が利用し、避難が難しい施設。
👉 例:映画館、百貨店、ホテル、病院、幼稚園、老人ホームなど
➡ 収容人員30人以上(福祉施設などでは10人以上)
【非特定防火対象物】
主に特定の人が利用する施設。
👉 例:学校、図書館、工場、事務所、倉庫など
➡ 収容人員50人以上
資格の種類|甲種・乙種防火管理者
防火管理者には2つの区分があります。
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資格区分 |
対応できる建物の規模 |
主な特徴 |
|---|---|---|
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甲種防火管理者 |
すべての防火対象物 |
大規模施設も可 |
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乙種防火管理者 |
小規模な施設のみ |
延床300㎡未満などの施設が対象 |
資格を取得するには
防火管理者になるには、原則として防火管理講習の修了が必要です。
講習は、都道府県知事または消防本部が指定する機関で実施されます。
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甲種講習:2日間(約10時間)
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乙種講習:1日(約5時間)
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受講料:6,000~10,000円程度
講習を修了すると、全国で有効な「防火管理者資格者証」が交付されます。
再講習と有効期限
防火管理者資格そのものには有効期限はありません。
ただし、収容人員300人以上の特定防火対象物では、5年ごとに再講習が義務付けられています。
防火管理者を選任しなかった場合の罰則
消防法では、防火管理者の未選任や届出忘れに対して罰則が定められています。
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違反内容 |
罰則 |
|---|---|
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防火管理者選任命令に違反 |
6か月以下の懲役または50万円以下の罰金 |
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選任・解任届の未提出 |
30万円以下の罰金または拘留 |
防火管理者と防災管理者の違い
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区分 |
主な対象 |
担当する災害 |
|---|---|---|
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防火管理者 |
火災 |
火災の予防・消火・避難誘導 |
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防災管理者 |
地震・風水害・爆発など |
火災以外の災害対策 |
防災管理者になるには、甲種防火管理者資格が前提となるため、両方を取得しておくと安心です。
企業が備えるべきその他の防災対策
防火管理者の選任だけでは、十分な防災体制とは言えません。
以下のような備えも重要です。
✅ 事業継続計画(BCP)の策定
✅ 定期的な防災・避難訓練の実施
✅ 従業員の安否確認システム導入
まとめ
防火管理者は、火災時に被害を最小限に抑え、日常の安全を守る“防災の要”です。
建物を安全に運営するためには、法律で定められた選任義務を果たすだけでなく、
日々の意識と訓練の積み重ねが欠かせません。