防災管理点検とは?対象建物・点検項目・報告の流れまで徹底解説|熊本防災管理点検
地震・風水害・大規模災害が増える中、建物の安全性を確保するために欠かせないのが「防災管理点検」です。
消防法(第36条)に基づき、大規模建築物の所有者・管理者に年1回の点検と消防機関への報告が義務付けられています。
本コラムでは、点検の目的から対象物、具体的な点検項目、点検後の流れまでをわかりやすくまとめています。
防災管理点検とは?
防災管理点検とは、
大規模建築物における防災管理業務(地震対策・避難体制・自衛消防組織など)が適切に行われているかを確認する法定点検です。
目次
■ 主な目的
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地震・風水害などの自然災害による被害を最小限に抑える
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建物に関わる人の安全を確保する
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防災管理体制が継続的に維持されているか確認する
■ 法的根拠
消防法第36条(防災管理点検・報告制度)
■ 点検の実施者
防災管理点検資格者のみが実施可能。
点検が必要な建物(防災管理対象物)
防災管理点検はすべての建物が対象ではなく、
用途・規模・階数などの条件を満たす大規模建築物が対象です。
例)
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11階以上で延べ面積が大きい建物
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多数の者が利用する商業施設・病院・宿泊施設
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複数の用途が混在する複合施設 など
(※地域により細かい判定基準が異なります)
「自分の建物は対象か?」と迷うケースが多いので、
早めに消防署または点検業者へ確認することが重要です。
主な点検項目(法改正内容を含む)
平成19年(2007年)の消防法改正により、防災管理に関する以下の項目が義務化されました。
防災管理点検では これらが適切に行われているかを確認します。
① 防災管理者の選任・届出
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建物を管理する立場の者を防災管理者として選任
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防災管理講習の修了が必要
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消防機関へ届出が適切に行われているか確認
② 消防計画の作成・届出
消防計画には以下が含まれます。
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地震対策(家具転倒防止など)
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災害時の通報連絡体制
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避難誘導方法
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防災訓練の実施計画
③ 自衛消防組織の設置・届出
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初期消火・避難誘導・通報などを担う組織
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組織体制や届出の有無、訓練状況を確認
④ 防災管理点検・報告
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年1回、資格者が建物の状況を点検
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結果を消防機関に報告することが義務(未報告は罰則あり)
【チェック内容の具体例】
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避難階段・廊下・出入口に障害物がないか
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家具・什器の転倒・落下防止対策がなされているか
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年1回以上の避難訓練が実施されているか
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非常食や防災資機材が適切に備蓄されているか
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消防計画・書類が最新の状態か
書類・現地の両面を確認する点が特徴です。
点検から報告までの流れ
防災管理点検は次の流れで行われます。
① 点検資格者へ依頼
見積り・点検日時を調整。
② 現地点検(書類+設備確認)
消防計画、届出書類、自衛消防組織の体制、現地の環境などを総合的にチェック。
③ 消防機関へ「点検結果報告書」を提出
消防署または出張所へ提出。
問題がなければ副本が返却され、建物管理者で保管。
④ 点検基準を満たした場合「点検済証」を掲示可能
有効期間は1年間。
3年連続で適合すると“特例認定”が可能
以下を満たす場合、特例認定を申請できます。
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3年連続で法令違反なし
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防災管理体制が適切に維持されている
認定されると、
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防災管理点検・報告が3年間免除
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建物に「防災優良認定証」を表示可能
大規模施設では非常にメリットがあります。
点検を怠ると?
防災管理点検・報告を怠った場合、
30万円以下の罰金または拘留の対象となります。
建物利用者の安全を守るため、計画的な実施が必須です。
まとめ
防災管理点検は、
“建物の地震・災害対策の健康診断” と言える重要な制度です。
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年1回の点検と報告は義務
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対象建物は大規模な用途・規模によって判断
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防災管理者・消防計画・避難体制など多岐にわたる項目を点検
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適合すれば点検済証の掲示が可能
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3年連続適合で特例認定も
建物の安全性を維持し、利用者を守るため、適切な防災管理体制を整えましょう。