自動火災報知設備の耐用年数と交換タイミング|知らないと危険な“寿命”の話

 

自動火災報知設備には「必ずこの年数で交換しなければならない」という法的な期限はありません。しかし、いざ火災が発生したときに確実に作動しなければならない設備であり、機械である以上“寿命”は必ず存在します。

この記事ではその内容を整理しつつ、設備ごとの交換タイミングをわかりやすく解説します。


受信機(火災受信盤)の交換推奨時期

受信機は自動火災報知設備の心臓部。ここが故障してしまうと、たとえ感知器が正常に感知しても建物側へ警報が伝わりません。

■ 受信機の推奨交換時期

  • R型受信機…15年

  • P型受信機…20年

近年は電子回路の小型化が進んでいるため、同じP型でも旧型と新型で寿命が異なる場合があります。製造年が古いほど、故障リスクは高くなります。

■ 内蔵蓄電池(バッテリー)の交換時期

  • 4〜6年が目安

蓄電池が劣化すると停電時に受信機が作動しなくなるため、設備点検でバッテリー交換を怠らないことが非常に重要です。


感知器(煙感知器・熱感知器)の交換推奨時期

感知器は天井などに多数設置され、火災の最も早期段階を検知する要となる装置です。種類によって推奨時期が異なります。

■ 感知器の交換推奨時期

  • 煙式感知器…10年

  • 熱式感知器(半導体式)…10年

  • 熱式感知器(一般的なタイプ)…15年

感知器は一見問題なく見えても、内部は確実に劣化します。

点検で不作動が出た場合、10〜15年以上経過している建物は一斉交換を行うことが望ましいです


発信機・地区音響装置の交換推奨時期

発信機(赤いボタン)や地区音響装置(非常ベル)は、火災を建物全体に知らせる“拡声”の役割を担う重要設備。

■ 交換推奨時期

  • 発信機…20年

  • 地区音響装置…20年

見た目が綺麗でも内部部品は経年劣化しているため、計画的な交換が不可欠です。


住宅用火災警報器の寿命(住警器)

一般家庭に設置される住宅用火災警報器には、明確な寿命が設定されています。

■ 住宅用火災警報器の耐用年数

  • 本体の交換目安…10年

  • 電池の交換目安…5年

10年を過ぎると電子基板の劣化により作動不良が起きやすくなるため、国やメーカーも「10年で本体ごと交換」を推奨しています。


まとめ|“動くように見えても”火災報知器の寿命は確実に来る

自動火災報知設備は日常的に動作するものではないため、どうしても交換時期を忘れがちです。しかし、

「いざ火事のときに作動しない」という最悪の事態を防ぐために、メーカー推奨時期での交換は非常に重要です。

  • 受信機:15〜20年

  • 感知器:10〜15年

  • 発信機/地区音響装置:20年

  • 住宅用警報器:10年

建物の安全を守るため、予防保全として早めの交換計画を立てることがベストです。

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