共用部に置いてはいけない危険物と消防上の理由|マンション・アパート【熊本消防設備点検】
目次
共用部に危険物を置くことの危険性
マンションやアパートの共用部(廊下・階段・エントランス・駐輪場など)は、すべての居住者が安全に利用できることが前提です。しかし、この共用部に危険物を置くことで、火災や爆発のリスクが格段に高まります。消防法や建築基準法でも明確に規制されており、管理者・居住者双方の法令遵守が求められます。
危険物を共用部に置くと、次のようなリスクが生じます。
・避難経路の遮断:火災時に廊下や階段が塞がれると、迅速な避難が妨げられます。
・火災の急速拡大:引火性や爆発性の物質があると、初期消火が困難になり、火災が瞬く間に広がります。
・居住者全員への危害:漏れや発火によるガス中毒、煙による窒息、爆発による破片飛散などのリスクが増大します。
共用部に置いてはいけない代表的な危険物
ガスボンベ・プロパンガス
-
危険性:圧力容器であるガスボンベは、漏れや衝撃で爆発する可能性があります。火災が発生した場合、ボンベの破裂により二次災害が起こります。
-
消防上の理由:消防法第4条では「危険物は指定場所に保管すること」と規定されており、共用部での保管は違法です。
灯油・ガソリン・アルコールなどの引火性液体
-
危険性:火元や静電気、加熱などで容易に発火します。少量でも火災が急速に拡大する恐れがあります。
-
保管規制:消防法施行令第4条では、危険物の貯蔵は容量や場所に応じた制限があります。共用部は対象外で、専用倉庫での管理が必要です。
花火・爆竹・ガスライターの予備ガス
-
危険性:衝撃や熱で発火する可能性があり、初期火災でも大規模火災に発展することがあります。
-
管理方法:季節やイベントでの使用時のみ、指定された安全な場所で保管することが推奨されます。
4酸化性の高い化学薬品
-
危険性:他の可燃物と接触すると激しく燃焼・発火することがあります。また、液漏れや気化による健康被害のリスクもあります。
-
安全対策:換気の良い専用保管庫での管理、取扱説明書に従った保管が必要です。
消防上の具体的リスクと避難経路確保
共用部に危険物を置くと、火災時に次の問題が生じます。
-
煙とガスの充満:廊下や階段は避難経路であるため、煙や有毒ガスが滞留すると避難が困難になります。
-
二次災害の発生:爆発や延焼により隣接住戸や共用設備まで被害が及ぶ可能性があります。
-
消火活動の阻害:消防隊が消火器やホースを使用する際、障害物があると迅速な消火ができません。
法令・規制の観点
-
消防法:危険物の保管場所や数量を規定し、共用部での保管を禁止。違反時は罰則もあり。
-
建築基準法:避難経路の妨害物を設置することを禁止。廊下・階段は不燃物以外置くことができません。
-
自治体条例:建物の管理規約と合わせ、共用部の危険物管理が義務化されている場合もあります。
管理者・居住者ができる対策
・共用部の巡回点検で危険物の有無を確認する
・危険物は必ず専用倉庫や各戸内で管理
・居住者への周知と掲示で安全意識を徹底
・消防署の指導や講習を定期的に受講
まとめ
共用部は「避難経路」であり「火災拡大防止の要」です。ガスボンベや引火性液体、爆発物、酸化性化学薬品など危険物は絶対に置かず、専用の保管場所で管理することが求められます。管理者だけでなく居住者全員の協力で安全な住環境を守りましょう。