火災受信機の故障と原因不明の誤作動──落雷・経年劣化のリスク|熊本火災報知器
目次
火災受信機とは?
火災受信機(自動火災報知設備の制御盤)は、建物内の火災を早期に検知し、警報を鳴らすための重要な装置です。火災受信機は単なる警報器ではなく、煙感知器・熱感知器・手動通報装置などからの信号を集約し、火災の発生を管理・通知する中枢的役割を担っています。そのため、故障や誤作動は建物の安全性に直結する重大な問題です。
火災受信機が故障する主な原因
・落雷による基板損傷
雷が建物に落ちた場合、直接的な衝撃だけでなく、配線を通じた過電圧が火災受信機の基板にダメージを与えることがあります。基板上の電子部品が損傷すると、非火災報(誤作動)や作動不能に陥る可能性があります。
・経年劣化
火災受信機は消耗品ではありませんが、内部の電子部品や配線、接点は年数経過とともに劣化します。特に湿気や温度変化が激しい場所では、基板や端子の腐食、接触不良が発生しやすく、原因不明の発報や動作不安定の原因となります。
・静電気や電源変動
停電・瞬断・電圧の変動も火災受信機に影響を与えます。特に古い設備では電源異常によるリセットや誤作動が発生しやすくなります。
・設置環境の影響
ホコリや煙、結露なども長期的には電子部品に影響します。機械式の接点部分が汚れや酸化で接触不良になることで、予期せぬ警報が発生する場合があります。
原因不明の発報とそのリスク
「火災は起きていないのに受信機が警報を鳴らす」という現象は、建物管理者や入居者に大きな不安を与えます。原因不明の発報が続く場合、以下のリスクがあります。
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消防への誤通報による社会的負担
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入居者の避難行動への混乱
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本当に火災が発生した際に警報が信頼されないリスク
こうした事態を防ぐためには、定期的な点検と早期の異常検知が不可欠です。
対策と安全確保のポイント
・定期点検の徹底
消防法では火災受信機を含む火災報知設備の定期点検が義務付けられています。専門業者による機能試験や基板の異常チェックは、落雷や経年劣化によるトラブルを未然に防ぐ手段です。
・雷サージ対策
落雷や電源異常による損傷を避けるため、受信機にサージプロテクターを設置することが推奨されます。特に高層建物や雷の多い地域ではリスク軽減に有効です。
・経年交換の検討
一般的には製造から15年以上経過した火災受信機は、故障リスクが高まります。メーカーの推奨寿命や部品の入手状況を踏まえ、計画的な交換も安全管理の一環です。
・記録の保持とログ確認
火災受信機の発報ログや異常履歴を定期的に確認することで、原因の特定や将来的なトラブル予測に役立ちます。
まとめ
火災受信機の誤作動や故障は、落雷や経年劣化など複数の要因で発生します。原因不明の発報は入居者や管理者に大きな影響を与えるため、定期点検・雷サージ対策・経年交換を組み合わせた総合的な管理が不可欠です。安全な建物運営には、「故障してから対応する」のではなく、「予防と早期対応」を中心に据えることが重要です。