消防設備に求められる3つの制度|検定・自己認証・定期点検報告が果たす役割とは

消防設備の安全は「3つの制度」で守られている

建物に設置されている消防設備は、火災という非常時に確実に作動することが求められます。

そのため消防設備は、一般的な設備とは異なり、製造から設置、点検、報告に至るまで、法律に基づいた厳格な制度のもとで管理されています。

その中心となるのが、

  • 検定制度

  • 自己認証制度

  • 定期点検報告制度

この3つの仕組みです。

それぞれの役割を正しく理解することで、「なぜ点検が必要なのか」「なぜ資格者が関わるのか」が見えてきます。


検定制度とは|国が品質を確認する仕組み

検定制度とは、消防用機械器具が技術上の基準に適合しているかを第三者機関が確認する制度です。

対象となるのは、消火器や火災報知設備、スプリンクラー設備など、火災時の初動対応に直結する重要な機器です。

この制度は、

  1. 型式承認

  2. 型式適合検定

という2段階で構成されています。

型式承認

製造メーカーが申請し、製品の構造や性能が基準に適合しているかを試験で確認します。

基準を満たしたものだけが「型式承認」を受けることができます。

型式適合検定

量産された製品が、型式承認時と同じ品質を保っているかを検査します。

この検定に合格した製品には、検定合格表示が付けられ、販売・設置が可能となります。

この表示がない消防用機器は、原則として販売や設置ができません。


自己認証制度とは|製造者が責任を持つ制度

すべての消防用機器が検定対象というわけではありません。

一部の機器については、自己認証制度が採用されています。

これは、製造業者や輸入業者が自ら、

「この製品は法令で定められた技術基準に適合している」

と確認し、表示を行う制度です。

対象となる主な設備には、

  • 動力消防ポンプ

  • 消防用吸管

  • 消防用ホース

  • 消防用結合金具

  • エアゾール式簡易消火具

  • 漏電火災警報器

などがあります。

自己認証といっても「自己判断でよい」という意味ではなく、

基準に適合していなければ販売・設置は禁止されており、責任は製造者に明確に課されます。


定期点検報告制度とは|設置後の安全を守る仕組み

どれだけ品質の良い消防設備でも、

設置後の管理が不十分であれば意味がありません。

そこで定められているのが、定期点検報告制度です。

点検の義務

建物の管理権原者(所有者・管理者など)は、消防設備を定期的に点検し、

その結果を消防署へ報告する義務があります。

  • 特定防火対象物:原則 年1回

  • 非特定防火対象物:原則 3年に1回

点検を行える人

点検は、

  • 消防設備士

  • 消防設備点検資格者

といった、法律で定められた有資格者でなければ行うことができません。


点検の種類|機器点検と総合点検

定期点検には、大きく分けて2種類があります。

機器点検

外観や簡単な操作により、

  • 配置が適正か

  • 損傷や劣化がないか

  • 基本的な機能が正常か

を確認する点検です。

総合点検

実際に設備を作動させ、

  • 警報が正しく伝達されるか

  • 設備同士が連動して動くか

  • 非常電源が機能するか

など、システム全体としての性能を確認します。


制度の目的は「罰則」ではなく「命を守ること」

検定制度、自己認証制度、定期点検報告制度は、

いずれも「書類のため」「罰則回避のため」にある制度ではありません。

目的はただ一つ。

火災発生時に、人命と財産を守るため

そのために、

製品の品質 → 設置の適正 → 維持管理

このすべてを切れ目なく管理する仕組みが作られています。


消防設備の点検・管理でお困りの方へ

消防設備は「設置したら終わり」ではありません。

法令を守りつつ、実際に使える状態を維持することが何より重要です。

  • 点検の時期がわからない

  • 報告書の内容が不安

  • 設備が古く、正常に動くか心配

このようなお悩みがあれば、消防設備の専門業者へ早めに相談することが、安全確保への第一歩となります。

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