【熊本消防設備】消火器の主流はなぜ粉末?ABC粉末消火器の仕組み・使い方・点検まで徹底解説
建物内で最も身近な消防設備といえば「消火器」です。
その中でも、現在もっとも広く普及しているのが粉末消火器(ABC粉末消火器)です。
では、なぜ数ある消火器の中で粉末消火器が“主流”なのでしょうか。
本記事では、粉末消火器が選ばれる理由、内部構造、正しい使い方、注意点、点検義務までを、
消防設備のプロ目線で分かりやすく解説します。
目次
粉末消火器が「消火器の王様」と呼ばれる理由
現在、日本で製造・設置されている消火器の大多数は粉末消火器です。
その最大の理由は、対応できる火災の種類が非常に広いことにあります。
ABC粉末消火器とは?
粉末消火器に使われている消火薬剤の主成分は、
りん酸アンモニウム系の第3種粉末です。
この粉末は以下の火災に対応できます。
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A火災:紙・木・布などの普通火災
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B火災:ガソリン・油などの油火災
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C火災:電気設備による火災
この3種類すべてに対応できるため、
「ABC粉末消火器」と呼ばれています。
👉 他の粉末(第1・第2・第4種)がB・C火災限定であるのに対し、
第3種粉末はA火災にも有効な点が大きな特徴です。
粉末消火器の内部構造と作動の仕組み
粉末消火器の内部には、180μm以下の非常に細かい粉末が封入されています。
この微粉末を勢いよく放射するため、内部には加圧ガスが使われています。
主な方式は2種類
蓄圧式(現在の主流)
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粉末と一緒に窒素ガスやCO₂ガスを常時加圧
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容器内圧力:約0.7~0.98MPa
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構造がシンプルで故障が少ない
ガス加圧式
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別体のCO₂ボンベを内蔵
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レバー操作でガスを放出し粉末を押し出す方式
👉 現在はメンテナンス性に優れた蓄圧式が主流です。
消火器のレバーを握ると中で何が起きているのか
安全栓を抜き、レバーを強く握ると以下の流れで作動します。
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ボンベや容器の封板が破れる
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ガスが容器下部へ流入
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粉末がかくはんされる
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サイホン管を通って放出口へ
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ノズルから約0.18MPaの圧力で放射
放射時間は約10~15秒。
短時間で大量の粉末を放出し、以下の効果で消火します。
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窒息効果(酸素遮断)
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抑制効果(燃焼反応の停止)
写真でわかる「正しい消火器の使い方」
消火器の操作は非常にシンプルですが、使い方を誤ると効果が激減します。
基本動作は3ステップ
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安全栓を抜く
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ホースを火元に向ける
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レバーを強く握る
正しい消火のポイント
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必ず風上から放射する
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火の根元(燃えている元)を狙う
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流れている油火災は上から下へ
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十分な量を一気に放射する
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消火後は再燃がないか確認
間違った使い方が危険を招く
写真にもあるように、以下は誤った消火方法です。
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風下から放射する
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火の上部だけを狙う
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少しずつチョロチョロ放射
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消えたと思ってすぐ立ち去る
👉 特に油火災では、誤った放射で火が広がる危険があります。
粉末消火器のメリット・デメリット
メリット
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幅広い火災に対応
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放射距離が3~10mと長い
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冬季でも凍結しない
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毒性がなく屋外使用も可能
デメリット
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放射時に視界が悪くなる
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消火後の粉末清掃が必要
👉 それでも総合性能が非常に高いため、最も普及しています。
粉末消火器の点検・交換時期について
粉末消火器は設置したら終わりではありません。
点検義務の目安(住宅用を除く)
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蓄圧式:製造から3年経過後に点検対象
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加圧式:製造から5年経過後に点検対象
点検内容
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安全栓・封印の異常
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容器内部の腐食・損傷
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粉末の性状・所定量
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ガス圧・漏れの有無
外観に異常がなくても、抜き取り点検が必要な場合があります。
まとめ|「知っている消火器」が命を守る
粉末消火器は、
正しく理解し、正しく使い、正しく点検することで初めて命を守る設備になります。
「いざという時に使えなかった」
「間違った使い方で被害が拡大した」
そうならないためにも、日頃から消火器の仕組みと使い方を知っておくことが重要です。