【熊本消防設備】加圧送水装置とは?送水圧力を高める3つの方式をわかりやすく解説
屋内消火栓設備や屋外消火栓設備、スプリンクラー設備など、水を用いる消防用設備では「必要な放水量」と「必要な放水圧力」を確実に確保することが求められます。
その中心的な役割を担っているのが加圧送水装置です。
いくら水源が十分に確保されていても、建物の規模や高さに応じた圧力が得られなければ、火災時に有効な放水は行えません。
加圧送水装置は、まさに消火設備全体の性能を左右する重要な要素といえます。
目次
加圧送水装置が必要とされる理由
水を用いる消火設備では、消防法により「所定の放水量・放水圧力」を満たすことが義務付けられています。
建物内の配管抵抗や階高による落差を考慮すると、単に水を貯めておくだけでは必要な圧力を確保できません。
そのため、消火用水に人為的に圧力を与える仕組みとして、加圧送水装置が設置されます。
屋内消火栓設備・屋外消火栓設備・スプリンクラー設備の多くで、この装置は不可欠な存在です。
加圧送水装置で送水圧力を高める3つの方式
加圧送水装置は、大きく分けて次の3方式があります。
高架水槽方式|水の落差を利用するシンプルな仕組み
高架水槽方式は、建物の屋上など高所に消火用の水槽(高架水槽)を設置し、
その水頭圧(高さの差)によって送水圧力を得る方式です。
水の落差は
10m ≒ 0.1MPa
という関係があり、この原理を利用しています。
メリット
・構造が比較的シンプル
・電気設備に依存しにくい
デメリット
・建物の階数が多い場合、下階と上階で圧力差が大きくなる
・上層階では所定の放水圧が確保できないケースがある
特に低層階では圧力が過大になりやすく、高層階では不足しやすいため、設計・用途に制約が生じやすい方式です。
圧力水槽方式|空気圧で水を押し出す方式
圧力水槽方式は、密閉された水槽内に消火用水を貯え、
圧縮した空気の力で水を押し出すことで送水圧力を確保する方式です。
水槽内の空気圧を一定以上に保つことで、放水時に必要な圧力を確保します。
特徴と注意点
・設備構成が比較的複雑
・水位管理や圧力制御が難しい
・一定条件を超える場合、圧力容器として法定検査が必要
有効水量は水槽容量のすべてが使えるわけではなく、
有効水量は水槽容量の2/3以下といった制約もあります。
現在では設計や維持管理の難しさから、採用例は減少傾向にあります。
ポンプ方式|最も一般的に採用されている方式
ポンプ方式は、水源の水を消火ポンプで直接加圧し、
所定の放水圧力と放水量を確保する方式です。
現在の加圧送水装置では、最も多く採用されており、
「加圧送水装置=ポンプ方式」と捉えられるほど一般的です。
メリット
・建物の高さや規模に応じた圧力調整がしやすい
・各階の消火栓で安定した放水圧が得られる
・設計の自由度が高い
注意点
・消火専用水源が原則
・一般給水設備との兼用は不可(条件付き例外あり)
地下水槽を水源とする場合でも、消火用として必要な有効水量が
吸水管の位置関係などにより確実に確保される設計であれば認められるケースもあります。
消火用水源の考え方と注意点
消火設備に使用する水源は、原則として建物内またはその直近に設ける必要があります。
消防隊が使用する連結送水管のように、外部から給水する設備とは考え方が異なります。
屋内消火栓設備の場合、
各消火栓の放水量を基準に20分以上使用できる水量を確保することが基本です。
また、防火対象物の用途や消火栓の種類により、
必要な有効水量の下限値も定められています。
方式選定が建物の安全性を左右する
加圧送水装置の方式は、
・建物の規模
・階数
・用途
・維持管理体制
これらを総合的に判断して選定する必要があります。
単に「設置できるから」という理由で方式を選ぶのではなく、
火災時に確実に機能するかという視点が最も重要です。
まとめ|加圧送水装置は見えないが重要な設備
加圧送水装置は、普段目にすることの少ない設備ですが、
火災時には確実な初期消火を支える「縁の下の力持ち」です。
3つの方式それぞれに特徴があり、
現在ではポンプ方式が主流となっていますが、
建物条件によっては他方式が適する場合もあります。
正しい知識と適切な設計・維持管理が、
人命と財産を守る確かな防災につながります。