【熊本消防設備】屋内消火栓設備と加圧送水装置の仕組みを徹底解説|消火栓箱・ポンプ・呼水装置まで分かりやすく解説
建物内に設置されている屋内消火栓設備は、火災発生時に初期消火を行うための極めて重要な消防設備です。
しかし現場や建物管理の場面では、「赤い箱の中にホースが入っている設備」という表面的な理解にとどまっているケースも少なくありません。
実際の屋内消火栓設備は、消火栓箱だけで完結するものではなく、
・消火栓箱
・配管
・加圧送水装置(消火ポンプ)
・呼水装置
・非常電源
といった複数の設備が連動して初めて機能する総合的な消火システムです。
本コラムでは、屋内消火栓設備の構成と仕組みを、専門的になりすぎないよう整理しながら、実務にも役立つ視点で解説します。
目次
屋内消火栓箱の基本構成と役割
屋内消火栓箱は、火災が発生した階ですぐに消火活動が行えるよう、各階の所定範囲に設置されます。
正式には「屋内消火栓箱」と呼ばれ、消火活動に必要な機器や操作部が一体で収納されています。
主な構成は以下のとおりです。
・消火栓開閉弁
・消防用ホース
・ノズル(筒先)
・ホース結合金具
・加圧送水装置の起動装置
・表示灯や警報装置
消火栓箱は鋼板製で、扉は90度以上開く構造とされ、「消火栓」の表示が明確に示されます。
緊急時でも迷わず操作できることが最優先され、開閉弁の設置高さは床から1.5m以下と定められています。
消火栓の種類と特徴の違い
屋内消火栓には、建物用途や規模に応じて複数の種類があります。
1号消火栓
比較的大規模な建物に設置される標準的な消火栓です。
・ホース口径:40mm(危険物施設では50mm)
・ホース長:15mを2本接続
・ノズル放水口径:13mm以上
放水量が多く、消火能力は高い反面、操作にはある程度の体力と慣れが必要です。
易操作性1号消火栓
1号消火栓を基に、操作性を高めたタイプです。
・ホース口径:30mm
・ホース長:30m
・1人でも操作しやすい設計
自衛消防隊だけでなく、一般従業員による使用も想定されています。
2号消火栓・広範囲型2号消火栓
比較的小規模な建物や、不特定多数が利用する建物に設置されます。
・ホース口径:25mm
・ホースはリール式
・ノズルには放水開始・停止装置を設置
操作性を重視した設計で、誰でも扱いやすい反面、放水量は1号消火栓より抑えられています。
なぜ屋内消火栓のホースは細いのか
屋外消火栓や消防隊が使用するホースと比べると、屋内消火栓のホースは細く感じられます。
これは能力不足ではなく、安全性を考慮した設計によるものです。
屋内消火栓は、自衛消防隊や一般人が操作する設備です。
ホース径が太く放水量が多すぎると、放水時の反動に耐えきれず、ノズルを保持できなくなる危険があります。
実際、放水量が過大になるとノズルが暴れるように動き、操作員が転倒・負傷するリスクが高まります。
そのため、屋内消火栓では「確実に扱える放水量」が重視されています。
加圧送水装置とは何か
屋内消火栓から水を放水するためには、一定の水圧と水量を確保する必要があります。
この役割を担うのが加圧送水装置です。
水を用いる消防設備では、加圧送水装置の方式として以下の3つがあります。
・高架水槽方式
・圧力水槽方式
・ポンプ方式
現在の建築物では、安定した水圧を確保しやすいポンプ方式が最も多く採用されています。
ポンプ方式加圧送水装置の基本構成
ポンプ方式の加圧送水装置は、以下の要素で構成されます。
・消火専用ポンプ
・電動機(モーター)
・制御盤
・呼び水装置
・非常電源
・各種弁類・計器類
ポンプは原則として消火専用とされ、火災時に確実に動作するよう耐震措置や設置場所にも配慮されます。
なぜポンプには「呼び水装置」が必要なのか
ポンプで水を送るためには、ポンプ内部および吸水管内が水で満たされている必要があります。
内部に空気が残っていると、ポンプが空回りして揚水できません。
特に地下水槽を水源とする場合、水位がポンプより低いため、吸水管内に空気が入りやすくなります。
この状態を防ぐために必要なのが呼び水装置です。
呼び水装置は、ポンプが停止している間も吸水管内を水で満たし、
起動と同時に確実に送水できる状態を維持するための設備です。
呼び水装置の構成と仕組み
呼び水装置は、小型の呼び水槽を中心に構成されます。
・一定量の水を常時貯留する呼び水槽
・自動給水用のボールタップ
・補給水管
・溢水用排水管
・減水を検知する警報装置
水位が下がると自動で補給され、異常時には警報が発報される仕組みになっています。
これにより、ポンプは常に「すぐに送水できる状態」を保ちます。
ディフューザポンプが使われる理由
消火栓用ポンプとして多く採用されているのがディフューザポンプです。
ディフューザポンプは、羽根車の外側に案内羽根を設け、水の速度エネルギーを効率よく圧力に変換します。
これにより、高い送水圧力を安定して確保することができます。
多段式にすることでさらに圧力を高めることができ、高層建築物でも所定の放水圧を確保可能です。
屋内消火栓設備を理解することの重要性
屋内消火栓設備は、火災発生時に「使えなければ意味がない」設備です。
箱の中身だけでなく、ポンプ・呼び水装置・電源まで含めて初めて成立します。
点検・管理・設計のいずれにおいても、
「どこか一つが欠けると機能しない」
という意識を持つことが重要です。
まとめ|消火栓設備は“見えない部分”が命を守る
屋内消火栓設備は、目に見える消火栓箱だけで評価できるものではありません。
加圧送水装置、呼び水装置、電源、配管まで含めた一体のシステムとして正しく維持管理されてこそ、本来の役割を果たします。
日常の点検や設備理解の積み重ねが、万が一の際の確実な初期消火につながります。