【熊本消防設備】スプリンクラーポンプはなぜ自動で起動するのか? ― 流水検知装置と圧力チャンバーの役割をわかりやすく解説 ―

スプリンクラー設備は、火災を早期に抑え被害を最小限にするための極めて重要な消防設備です。

その中核を担うのが「スプリンクラーポンプ」であり、火災発生時に人の操作を介さず自動で起動することが大きな特徴です。

本コラムでは、

・スプリンクラーポンプが自動で起動する仕組み

・流⽔検知装置(⾃動警報弁)の役割

・圧力チャンバーが必要とされる理由

について、現場実務にも役立つ視点で解説します。


スプリンクラー設備における自動起動の考え方

閉鎖型スプリンクラー設備では、通常時、配管内は水で満たされ、一定の圧力が保持されています。

火災が発生すると、周囲温度の上昇によりスプリンクラーヘッドが感熱作動し、放水が開始されます。

この放水によって配管内の水が流れ出すことで、

「異常な流水が発生した」

という状態を検知し、警報と同時にポンプを起動させる仕組みが構築されています。


流水検知装置(自動警報弁)の役割

流水検知装置は、単に水が流れたことを知らせる装置ではありません。

主な役割は次の3点です。

・スプリンクラー作動時の流水を検知する

・火災信号として警報設備へ伝達する

・スプリンクラーポンプ起動の信号を発する

特に多く採用されている湿式自動警報弁では、

ヘッドの放水により二次側配管の水圧が低下すると、弁体が作動し、水が流れ始めます。

この流水が継続することで、警報装置およびポンプ起動信号が成立します。

なお、瞬間的な水圧変動(ウォーターハンマーなど)で誤作動しないよう、

一定時間以上の流水が継続した場合のみ信号を出す遅延機構が設けられています。


圧力スイッチだけでは不十分な理由

「配管内の圧力が下がったらポンプを起動すればよいのでは?」

と思われる方も多いかもしれません。

しかし実際には、気温変化による水温低下や微小な漏水でも圧力は変動します。

これらに反応してしまうと、ポンプが頻繁に誤起動してしまいます。

そこで重要な役割を果たすのが**圧力チャンバー(圧力タンク)**です。


圧力チャンバーの重要な役割

圧力チャンバーは、配管内と同じ圧力状態を保ったまま、

内部に圧縮空気を保持している密閉容器です。

この圧縮空気がクッションの役割を果たすことで、

・微小な圧力変動を吸収

・温度変化による誤作動を防止

・実際の放水による圧力低下のみを確実に検知

することが可能になります。

つまり、

「本当に火災による放水があったときだけ」

ポンプが起動するよう、安全側に設計されているのです。


スプリンクラーポンプが起動する一連の流れ

火災発生からポンプ起動までの流れを整理すると、次のようになります。

・火災発生

・スプリンクラーヘッドが感熱作動

・放水開始

・配管内の流水・減圧が発生

・流⽔検知装置が作動

・圧力チャンバーの圧力が低下

・圧力スイッチがON

・制御盤へ信号送信

・スプリンクラーポンプ起動

この一連の流れが自動で行われることで、初期消火の遅れを防いでいます。


消火栓設備との違いから見るスプリンクラーポンプの特徴

屋内消火栓ポンプと構造自体は似ていますが、

スプリンクラーポンプには原則として圧力チャンバーが付属する点が大きな違いです。

これは、

「人が操作する消火栓」と

「自動で作動するスプリンクラー」

という運用の違いによるものです。

自動設備だからこそ、

誤作動を防ぎ、確実に起動させる設計思想が求められています。


点検・保守で重要な視点

スプリンクラーポンプの信頼性は、

流⽔検知装置・圧力チャンバー・圧力スイッチが

正常に連動してこそ確保されます。

・圧力設定値の確認

・チャンバー内空気量の確認

・起動試験時の反応確認

これらを確実に点検することで、

「いざという時に確実に動く設備」を維持することができます。

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