【熊本消防設備】水噴霧消火設備とは?スプリンクラーとの違いと仕組みをわかりやすく解説
火災対策として広く知られているスプリンクラー設備ですが、
同じ「水」を使う消火設備に水噴霧消火設備があります。
一見すると似た設備に見えますが、消火の考え方・効果・用途は大きく異なります。
本コラムでは、水噴霧消火設備の特徴や仕組み、スプリンクラー設備との違いについて、
現場目線でわかりやすく解説します。
目次
水噴霧消火設備とスプリンクラー設備の違い
スプリンクラー設備は、スプリンクラーヘッドから水を粒の大きい水滴(雨状)で放水し、
主に「燃えている物を濡らして冷やす」ことで消火を行います。
一方、水噴霧消火設備は、非常に細かい霧状の水(微粒子)を空間全体に噴霧するのが最大の特徴です。
水を霧にすることで、同じ水量でも消火効果が大きく高まります。
水を霧にすることで高まる消火効果
水噴霧消火設備が高い消火性能を持つ理由は、次のような物理的効果にあります。
・霧状の水は表面積が非常に大きく、熱を効率よく吸収できる
・水が水蒸気に変わる際の気化熱により、強い冷却効果が得られる
・水蒸気が燃焼空間を覆い、酸素の供給を抑制することで窒息効果を発揮する
・微細な霧は電気的な絶縁性が高く、条件を満たせば電気火災にも対応可能
・油の表面に乳化層(エマルジョン)を形成し、油火災の抑制にも効果を発揮する
このように、水噴霧消火設備は冷却・窒息・延焼防止を同時に狙える点が大きな強みです。
水噴霧消火設備の主な設置用途
水噴霧消火設備は、次のような場所で多く採用されます。
・駐車場
・道路・トンネル
・指定可燃物の貯蔵・取扱場所
・変電設備・電気設備を有する危険物関連施設
特に、延焼防止や避難路の安全確保が求められる場所では、
水噴霧消火設備の特性が非常に有効です。
ただし、危険物施設を除き、建築物と一体とみなされる防火対象物では、
屋内消火栓設備やスプリンクラー設備が法的に優先されるケースもあります。
用途や構造による適用判断が重要です。
水噴霧消火設備の基本構成
水噴霧消火設備は、構成自体は開放型スプリンクラー設備とほぼ同じです。
・水源
・加圧送水装置(ポンプ)
・配管
・水噴霧ヘッド
・制御弁
・自動火災感知設備
・流水検知装置
火災を感知すると制御弁が開放され、
水噴霧ヘッドから一斉に霧状の水が放出されます。
水噴霧ヘッドの仕組みと特徴
水噴霧ヘッドは、スプリンクラーヘッドとは異なり、
自動的に感熱して作動する構造を持っていません。
そのため、必ず自動火災感知設備と連動して動作します。
水を霧状にする方法には、以下のような構造があります。
・デフレクターに衝突させて霧化する方式
・内部の羽根に当てて拡散させる方式
・オリフィスから扇状に噴出させる方式
・内部で流れを衝突・乱流化させて霧化する方式
いずれも、高い放射圧力が必要となる点が特徴です。
放射圧力と放水量の考え方
水噴霧消火設備は、スプリンクラー設備よりも高い放射圧力が求められます。
・道路・駐車場用
放射圧力:0.3MPa以上
放水量:1㎡あたり毎分20ℓ以上
・指定可燃物用
放射圧力:0.25MPa以上
放水量:1㎡あたり毎分10ℓ以上
このため、床面には大量の排水が発生します。
水噴霧消火設備で重要な排水計画
特に駐車場などでは、排水設備の設計が非常に重要です。
・周囲に高さ10cm以上の区画境界堤を設ける
・床勾配は排水溝に向かって2/100以上
・排水溝は40m以内ごとに集水管へ接続
・油分分離装置付きの消火ピットを設置
・ポンプ最大放水量を処理できる排水能力を確保
排水計画が不十分だと、消火後の二次被害につながるため、
設計段階からの検討が不可欠です。
まとめ
水噴霧消火設備は、
「水を霧にする」ことで消火効果を最大限に引き出す、高性能な消火設備です。
スプリンクラー設備とは役割や設置目的が異なり、
用途・法令・構造条件を正しく理解した上での選定が重要になります。