【熊本消防設備】定温式熱感知器とは何か ― 差動式との違いと「確実に作動する温度」の考え方

定温式熱感知器とはどのような感知器か

定温式熱感知器とは、周囲温度が一定の温度以上に達したときに作動する熱感知器です。

差動式が「温度の上昇スピード」を見るのに対し、定温式は到達した温度そのものを判断基準として火災を検知します。

そのため、火災の進行が緩やかであっても、最終的に一定温度を超えれば確実に作動するという特徴があり、環境条件によっては差動式よりも信頼性が高い場合があります。


定温式熱感知器の種類と感度区分

定温式熱感知器は、構造の違いからスポット型と感知線型に大別されます。

また、感度(作動時間)によって、特種・1種・2種に区分されています。

特種は最も感度が高く、所定条件下で40秒以内に作動します。

1種は120秒以内、2種は300秒以内に作動することが求められており、特種ほど早期検知が可能となります。

ただし、感度が高いほど非火災報のリスクも高くなるため、設置場所の環境に応じた選定が不可欠です。


公称作動温度という重要な考え方

定温式熱感知器には、「公称作動温度」という基準があります。

これは、感知器が作動する温度の目安で、一般的に60℃から150℃程度まで、段階的に設定されています。

設置にあたっては、平常時の最高周囲温度より20℃以上高い公称作動温度の感知器を選定する必要があります。

この基準を誤ると、通常使用時の温度上昇で非火災報を起こしたり、逆に火災時の作動が遅れたりする原因となります。


定温式スポット型熱感知器の仕組み

定温式スポット型熱感知器は、一地点の温度上昇を検知するタイプです。

内部には、異なる膨張率を持つ2種類の金属を貼り合わせたバイメタルが用いられています。

火災によって温度が上昇すると、バイメタルが大きく変形し、接点が閉じて電気回路が成立します。

これにより、火災信号として受信機へ発報される仕組みです。

構造が単純で信頼性が高く、現在でも多くの防火対象物で使用されています。


定温式感知線型熱感知器の特徴と注意点

定温式感知線型熱感知器は、電線状の感知器で、火災による高温で絶縁物が溶け、内部の導線が接触することで作動します。

この方式は、一度作動すると再使用ができず、感知線の交換が必要となる非再生型であるため、現在では使用される場面は限定的です。

点検や復旧に手間がかかることから、実務上はほとんど採用されていません。


差動式との違いから見える定温式の役割

差動式熱感知器は、急激な温度上昇に対して非常に有効ですが、温度上昇が緩やかな火災では作動しにくい場合があります。

一方、定温式熱感知器は、最終的に一定温度に達すれば必ず作動するため、安定した検知が可能です。

この違いを理解したうえで、防火対象物の用途や環境に応じて、差動式と定温式を適切に使い分けることが重要です。


定温式熱感知器は「確実性」を重視する感知器

定温式熱感知器は、派手な早期検知を狙う感知器ではありません。

しかし、設置環境を正しく見極め、公称作動温度を適切に選定すれば、確実に火災を捉える信頼性の高い感知器となります。

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