【熊本消防設備】光電式煙感知器とは ― スポット型と分離型の違いを原理から理解する
目次
光電式煙感知器とは何を検知する感知器か
光電式煙感知器は、火災によって発生する煙そのものを検知して作動する感知器です。
煙は空気中を漂いながら光を散乱させる性質を持っています。光電式煙感知器は、この性質を利用し、光の変化を電気信号に変換することで火災を判断します。
熱感知器のように温度上昇を待つ必要がないため、火災の初期段階で検知できることが最大の特徴であり、多くの建築物で主力となっている感知器です。
光電式煙感知器の基本原理
光電式煙感知器の内部には、光源と光電素子が配置されています。
通常時、光は直接光電素子に当たらない構造になっており、空気が流入しても信号に変化はありません。
しかし火災が発生し、煙が感知器内部に侵入すると、煙の粒子によって光が散乱され、その一部が光電素子に到達します。
この受光量の変化を電気信号として検出し、受信機へ火災信号を送る仕組みとなっています。
光電式スポット型煙感知器の特徴
光電式スポット型煙感知器は、一つの感知器で局所的な煙を検知するタイプです。
天井面に設置されることが多く、感知範囲は比較的限られていますが、構造がシンプルで信頼性が高く、最も一般的に使用されています。
一方で、タバコの煙や調理煙など、局所的に発生する煙に反応しやすく、非火災報が発生しやすいという側面もあります。
そのため、設置場所の用途や環境を十分に考慮することが重要です。
光電式分離型煙感知器の考え方
光電式分離型煙感知器は、送光部と受光部を離して設置するタイプの煙感知器です。
両者の間に光軸を形成し、その光が煙によって遮られる(減衰する)ことで火災を検知します。
この方式は、広い空間に拡散した煙の累積的な影響を捉えるため、スポット型では誤報が起こりやすい場所でも、安定した検知が可能です。
分離型が適している建築空間とは
光電式分離型煙感知器は、長い廊下、大空間、体育館、倉庫、ホールなど、見通しのきく場所で特に効果を発揮します。
監視距離は5~100mと長く、一定条件を満たせば、少ない台数で広範囲をカバーできる点が大きなメリットです。
その結果、設置個数を抑えることができ、点検や保守管理の効率も向上します。
設置基準が示す「煙の流れ」の重要性
光電式分離型煙感知器の設置基準では、光軸の高さや壁からの距離など、細かな条件が定められています。
これらはすべて、煙がどのように滞留・流動するかを前提に設定されたものです。
単に図面どおりに配置するだけではなく、天井高さや梁、空調気流の影響を考慮することが、感知器の性能を最大限に引き出すポイントとなります。
スポット型と分離型は「優劣」ではなく「使い分け」
光電式スポット型と分離型は、どちらが優れているというものではありません。
局所的な早期検知に強いスポット型、広範囲を安定して監視できる分離型――それぞれに役割があります。
設計や点検の現場では、建物の構造・用途・空間特性を踏まえた選定が不可欠です。
この使い分けが、自動火災報知設備全体の信頼性を大きく左右します。
光電式煙感知器は「空間を読む」感知器
光電式煙感知器は、単に煙を検知する機器ではありません。
煙の拡がり方、滞留の仕方、空間構成を理解して初めて、正しい選定と設置が可能になります。
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