【熊本消防設備】自動火災報知設備の発信機とは ― 押しボタン式と電話式の違いを実務目線で解説
目次
発信機とは何をする設備なのか
自動火災報知設備において、火災を知らせる役割を担うのは感知器だけではありません。
人が火災を発見したときに、手動で通報するための装置が発信機です。
法令上、発信機とは「火災信号受信機に手動で火災信号を送るもの」と定義されており、
感知器が作動する前であっても、人の判断によって迅速に発報できる点が大きな特徴です。
自動火災報知設備において、火災を知らせる役割を担う機器は感知器だけではありません。
人が火災を発見したときに自ら通報する装置――これが「発信機」です。
発信機の理解には、自動火災報知設備全体の仕組みを押さえることが役立ちます。
詳しくはこちら👉 自動火災報知設備とは何か(警戒区域の考え方)
発信機には2つの方式がある
発信機には、大きく分けて次の2種類があります。
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押しボタン式発信機(P型)
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電話式発信機(T型)
いずれも手動発報という点では共通していますが、通報方法と役割が異なります。
押しボタン式発信機(P型)の仕組み
P型発信機は、前面の押しボタンを操作することで、火災信号を受信機へ送る方式です。
いわゆる「非常押しボタン」と呼ばれるタイプで、多くの建物で目にする発信機がこれに該当します。
誤操作やいたずらによる発報を防ぐため、押しボタンの前にはアクリル製の保護板が設けられています。
この保護板は、一定以上の力を加えなければ破れない構造となっており、
軽く触れただけでは発報できないよう配慮されています。
P型1級とP型2級の違い
P型発信機には、1級と2級があります。
P型2級発信機は、押しボタンを押すことで火災信号を送るだけのシンプルな構造です。
発報が受信機に届いたかどうかを、発信した人が確認する手段はありません。
一方、P型1級発信機には、受信確認ランプや電話ジャックが備えられています。
発報が正常に受信された場合、ランプが点灯し、その場で受信機側と通話することも可能です。
発信機の中でも P型1級 は、
発信信号の受信確認ランプや電話ジャックを備え、
発信した人が 正常に受信されたかを確認できる点が大きな特徴です。
この「信号の受信確認」は、
実際に信号がどう管理・表示されるかの理解につながります。
詳しくはこちら👉 受信機とは何をする設備か(P型1級受信機の役割)
電話式発信機(T型)とは何か
T型発信機は、押しボタンではなく非常電話によって通報する方式です。
受話器を取り上げた時点で火災信号が送られ、同時に防災センターや管理室と通話が可能となります。
つまり、T型発信機は「発信機」と「非常電話」の機能を兼ね備えた設備と言えます。
T型発信機の大きな特徴
T型発信機の最大の特徴は、火災の状況を直接伝えられることです。
煙の量や火の勢い、避難の可否など、現場の状況を音声で伝達できるため、
防災センター側もより的確な初動対応を取ることが可能になります。
このため、T型発信機は、大規模建築物や防災センターを有する建物で主に採用されます。
実務で意識したい設置と運用のポイント
発信機は、設置するだけでなく、確実に操作できる状態を保つことが重要です。
設置場所の前に物を置いたり、視認性を損なう配置は避けなければなりません。
また、屋内型・屋外型の使い分けや、定期的な点検によって、
非常時に確実に機能する状態を維持することが求められます。
発信機は「人の判断」を活かす設備
発信機は、機械任せではなく、人の判断を火災通報に反映できる貴重な設備です。
感知器だけでは補えない初期対応を可能にする点で、
自動火災報知設備の中でも重要な役割を担っています。
押しボタン式か、電話式か。
建物の規模や用途に応じて適切な発信機を選定し、
確実に使える状態を維持することが、防災設備の質を高めることにつながります。
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