【熊本消防設備】漏電火災警報器はなぜ木造建築物に設置するのか?ラストモルタル壁と漏電火災の関係
目次
木造建築物なのに「漏電火災警報器」が必要な理由
木造なのに、なぜ漏電火災警報器が必要なのか。
一見すると不思議に感じられます。
理由は、木造そのものではなく、
防火構造として採用される「ラストモルタル壁」にあります。
ラストモルタル壁とはどんな構造か
木造建築物を防火構造とするため、外壁や軒裏などに
-
ワイヤラス(針金の網)
-
メタルラス(鉄板を引き伸ばした網)
といった金属製のラスを張り、その上からモルタルを塗ります。
この金網を英語で「Lath(ラス)」と呼び、
ここから「ラスモルタル」という名称が生まれています。
この構造は延焼防止に非常に効果的ですが、
同時に壁内部に広範囲の金属網を張り巡らせている状態でもあります。
ラスに漏電すると、壁の中でスパークが起きる
建物内部の電気配線が劣化・損傷した場合、
漏れた電流がラス(金網)に触れることがあります。
ラスは建物全体に張り巡らされているため、
壁内部の広い範囲に電流が流れ、
どこかでスパーク(電気火花)が発生
する可能性があります。
しかもこれは壁の中で発生する火災のため、
外からは非常に発見しにくいのが特徴です。
これが「漏電火災」と呼ばれる現象です。
漏電火災警報器の役割
漏電火災警報器は、
このラスに流れる漏れ電流を検知するための設備です。
火が出てから知らせるのではなく、
漏電という「火災の原因」を検知して警報する
これが目的です。
設置義務は「建物規模」と「契約電流容量」で決まる
漏電火災警報器の設置は、
-
建物の延べ面積
-
契約電流容量
この2つで判断されます。
例えば、防火構造の木造建築物で
-
延べ面積300㎡以上
-
または契約電流容量50A超
この条件に該当すると、設置対象になります。
ただし免除される場合もある
ラストモルタル壁でも、
-
下地や間柱、根太などを不燃材・準不燃材とした場合
火災の危険性が低くなるため、設置が免除されることがあります。
つまり重要なのは「木造かどうか」ではなく、
ラスを使った防火構造かどうかです。
漏電火災警報器の構成と仕組み
漏電火災警報器は主に
-
変流器
-
受信機
-
警報ブザー
で構成されます。
変流器は電線をリング状に囲み、
通常は行きと帰りの電流が等しいため反応しません。
しかし漏電が発生すると、電流のバランスが崩れ、
その差を検知して受信機へ信号を送ります。
検出感度は誤報しないように設定されている
検出する漏電電流は一般的に
-
100~400mA程度
-
B種接地線に設ける場合は400~800mA
とされています。
微弱な漏れでは反応せず、
危険なレベルの漏電のみを検知する設定です。
「漏電」とは何か
漏電とは、本来の電気回路以外の経路に電流が流れることをいいます。
絶縁不良や配線の劣化などが原因で発生し、
-
感電事故
-
電気機器の損傷
-
漏電火災
につながる可能性があります。
まとめ|木造だからではなく「ラス構造」だから必要
漏電火災警報器は
-
木造だから設置するのではない
-
ラスモルタル壁という金属網構造があるため必要
-
壁の中で起きる漏電火災を未然に防ぐための設備
-
面積と契約電流容量で設置が決まる
という明確な理由があります。
普段は見えない壁の内部に潜む危険を、
電気の異常という形で早期に検知するための設備です。