【熊本消防設備】消防用水とは?防火水槽の有効水量・設置基準・点検ポイントを解説
目次
消火には「大量の水」が必要になります
火災の消火には想像以上の水を使います。
バケツや消火器レベルの話ではなく、消防車が連続放水できるだけの大量の水源が必要になります。
このため、消防法では建物の規模や用途に応じて、あらかじめ消火用の水、いわゆる消防用水を確保しておくことが義務付けられています。
消防用水は大きく3つに分けられます。
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公設消防水利(消火栓など)
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指定消防水利(池・井戸・川など)
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敷地内に設ける消防用水(防火水槽)
この中でも建物と直接関係するのが防火水槽です。
なぜ敷地内に防火水槽が必要になるのか
過去、大規模火災時に
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消火栓の水圧が低下
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断水
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水利不足
といった理由で消火活動が困難になり、被害が拡大した事例がありました。
その教訓から、大規模建築物や高層建築物には、自前の水源を持たせるという考え方が生まれ、防火水槽の設置が義務化されています。
つまり防火水槽は消防車が確実に水を吸い上げられる「最後の水源」なのです。
「有効水量20㎥以上」の本当の意味
防火水槽の有効水量は20㎥以上と定められています。
ここで重要なのは「有効水量」という言葉です。
これは単に水槽の容量のことではありません。
消防ポンプ車は、ホース(吸管)を水槽に入れて水を吸い上げます。
しかしこの吸管には限界があり、地盤面から4.5m以内の水しか吸い上げることができません。
つまり、水槽がどれだけ深くても、4.5mより深い部分の水は消火活動に使えない水になります。
これが「有効水量」の定義です。
必要な有効水量は建物規模で変わる
20㎥あればよい、というわけではありません。
建物規模に応じて必要な有効水量が決められています。
目安としては次のような考え方になります。
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1〜2階の床面積7,500㎡ごとに20㎥
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準耐火建築物では5,000㎡ごとに20㎥
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その他の建築物では2,500㎡ごとに20㎥
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床面積12,500㎡ごとに20㎥
このように、規模が大きくなるほど必要な水量も増えていきます。
また、1か所にまとめる必要はなく、20㎥以上の水槽を複数分散設置してもよいとされています。
吸管投入口のサイズに決まりがある理由
防火水槽には「吸管投入口」があります。
これは消防車の吸管を差し込むための穴で、
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直径60cm以上の円形
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または60cm以上角の正方形
と決められています。
理由は単純で、消防車の太い吸管が確実に入るサイズが必要だからです。
さらに、防火水槽は消防車が2m以内に接近できる位置
に設ける必要があります。
水があっても、消防車が近づけなければ意味がありません。
設置対象となる建築物
防火水槽(消防用水)の設置対象となるのは、主に次の建物です。
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敷地面積20,000㎡以上
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耐火建築物で1〜2階の床面積合計15,000㎡以上
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準耐火建築物で10,000㎡以上
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その他の建築物で5,000㎡以上
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高さ31mを超え、延べ面積25,000㎡以上
ここに該当する建物は、消防用水の設置義務があります。
小川や池を消防用水にする場合
水槽以外にも、池や小川を消防用水として認めることがあります。
この場合は流量が毎分0.8㎥以上
という条件があります。
単に水があるだけではだめで、十分な流れがあることが必要です。
点検時に確認すべき重要ポイント
消防用水は消防設備ですが、検定の対象ではありません。
そのため、見落とされがちです。
点検時には次を確認することが重要です。
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消防車が接近できるか
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吸管投入口のフタは開けられるか
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水位(有効水量)は確保されているか
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ゴミや土砂が堆積していないか
これらは実際の消火活動に直結するポイントです。
まとめ
防火水槽は単なる水溜まりではありません。
消防車が確実に水を吸い上げられるように設計された、極めて重要な設備です。
「有効水量20㎥以上」
「4.5m以内」
「吸管投入口60cm以上」
これらの数字にはすべて、消火活動の現実的な理由があります。