【熊本消防設備】連結送水管とは?なぜ必要か・構成・湿式乾式・超高層の対応までを解説
目次
連結送水管は「消防隊のための設備」
大規模建築物で火災が発生したとき、消防隊は建物の外に停車した消防ポンプ自動車からホースを延ばして放水します。
しかし、火点が10階、15階、あるいは地下街の奥だった場合、ホースを抱えて階段を駆け上がり、延長し、接続して…という作業には膨大な時間と労力がかかります。
このロスをなくすために設けられているのが連結送水管です。
あらかじめ建物内に「消防専用の送水配管」を通しておき、消防車からこの配管へ水を送り込む。
消防隊は火災階の放水口にホースをつなぐだけで、すぐに消火活動に入れる。
つまり連結送水管は、建物を守る設備というより、消防隊の消火活動を支援するための設備に分類されます。
設置が義務となる防火対象物
次のような建築物には連結送水管の設置が義務付けられます。
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地上7階以上の建築物
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地上5階までで延べ面積6,000㎡以上
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延べ面積1,000㎡以上の地下街
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延長50m以上のアーケード
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道路部分を有する防火対象物
規模が大きく、消防隊の活動に時間がかかる建物ほど必要になる設備です。
連結送水管の構成(送水口・配管・放水口)
連結送水管は大きく3つで構成されます。
送水口
消防ポンプ車が接続する入口。
結合金具の口径は呼称65(65A)に統一されています。
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地面から0.5〜1.0mの高さ
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立管本数以上を設置
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「送水口」標識を設置
放水口
消防隊がホースを接続する出口。
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床面から0.5〜1.0m
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3階以上の各階(地下街は各階)
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階段室・非常用EV乗降ロビーなど
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半径50m(道路・アーケードは25m)以内に届く配置
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放水口箱に収納し「放水口」標識
配管
原則専用配管。呼び径100mm以上。
設計送水圧の1.5倍以上に耐える強度が必要です。
ワンタッチで接続できる「結合金具」
消防ホースの接続は一瞬で確実に行う必要があります。
そのため使用されるのが差込式結合金具。
押し込むだけで「カチッ」と接続でき、離脱も容易。
ねじ式より迅速で、放水側に採用されます。
乾式送水管と湿式送水管の違い
連結送水管には2種類あります。
乾式
普段は水が入っていない方式。
デメリット
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送水時にウォータハンマ発生する可能性がある
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排水弁・逆止弁が必要
湿式(常に満水)
常に水が満たされている方式。
メリット
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ウォータハンマが起きにくい
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屋内消火栓配管と兼用可能
現在は原則湿式が推奨され、
高さ70mを超える建物では湿式のみ認められます。
超高層ビルでは「加圧送水装置」が必要
消防ポンプ車の送水圧は約1.0〜1.1MPa。
理論上は100m以上送水できますが、実際は配管摩擦で不可能。
そのため高さ70mを超える建物では
ブースターポンプ(加圧送水装置)の設置が義務になります。
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吐出量:放水口3個同時使用で2,400L/分以上
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吐出圧:0.6MPa以上
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非常電源で2時間以上作動
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直接操作・遠隔操作可能
さらに11階以上では
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双口放水口
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ホース・ノズル格納箱の設置
など基準が強化されます。
バルブの種類と役割
連結送水管には複数のバルブが使用されます。
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止水弁(玉形弁・アングル弁):放水口
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仕切弁(ゲート弁):止水・排水
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逆止弁:逆流防止
特に逆止弁は、送水中の逆流事故を防ぐ重要部品です。
まとめ:連結送水管は「消火活動の時短装置」
連結送水管は、建物利用者のためというより
消防隊が最短で消火活動に入るための設備です。
火災時に
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ホースを延ばす時間
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接続にかかる時間
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水を上階へ送る時間
これらをすべて短縮するための仕組み。
だからこそ、大規模・高層建築物には欠かせない設備なのです。