準地下街とは何か|消防法上の定義・範囲・面積算定の考え方を解説
目次
準地下街の法的位置づけ
消防法施行令別表第1(16の3)項は「準地下街」を防火対象物として規定しています。
準地下街とは、建築物の地下階(地下街の各階を除く)が地下道に連続して面し、一定の要件を満たすものをいいます。
単に地下階が地下道と接しているだけでは足りず、
地下道との接続状況および開口部の規模が判断基準となります。
準地下街に該当する基本条件
地下道に接続する建築物の地下階が、次の条件を満たす場合、その地下階部分は準地下街として取り扱われます。
・地下道との接続部分の開口部面積の合計が40㎡以上であること
・その開口部相互間の歩行距離が20m以内であること
ここでいう開口部面積は、地下道に直接面する出入口等の有効開口部分を指します。
複数の建築物が地下道に面している場合であっても、歩行距離20m以内にある開口部は合算して算定されます。
防火戸が設けられている場合の算定
地下道との接続開口部が、常時閉鎖式または煙感知器連動閉鎖式の特定防火設備である防火戸により区画されている場合、その開口部面積は2分の1として算定されます。
ただし、この場合でも、合計面積が基準値に達しなければ準地下街には該当しません。
排煙設備附室を経由する場合
地下道との接続が排煙設備の附室を経由する構造となっている場合は、開口部がないものとして扱われます。
したがって、この場合は開口部面積の算定対象にはなりません。
改札口周辺の取扱い
地下鉄駅の改札口内外の区域が、耐火壁または特定防火設備(常閉式防火戸等)により区画されている場合、その区域は準地下街の部分には該当しません。
地下鉄コンコース部分は用途・構造・管理形態が異なるため、原則として準地下街の面積算定には含めません。
歩行距離20mの考え方
歩行距離は直線距離ではなく、実際に人が移動可能な経路により算定します。
RC壁・柱・小壁など、防火上有効な遮へい物がある場合は、それらを回避した経路で測定します。
防火戸で区画されている場合は、その区画内で距離を判断します。
準地下街の範囲の決定方法
準地下街の範囲は、店舗や事務所等の各部分から地下道方向へ歩行距離20mの線で囲まれた範囲とされます。
ただし、随時閉鎖式または自動閉鎖式の防火戸が設置されている場合は、その防火戸で区画された部分までとすることができます。
地下鉄部分の面積算定
地下街の面積算定において、地下鉄部分(改札、事務所、プラットホーム等)は地下街の面積には算入しません。
地下鉄部分は、用途・構造・管理形態が地下街とは異質であると整理されています。
地下駐車場の取扱い
地下道に接する店舗等の下層階に設けられた駐車場は、地下街に大きな影響を与える構造である場合、地下街の附属施設として取り扱われることがあります。
階段等で接続され、一体的な避難動線を形成している場合は、独立用途とは判断されません。
地下街が連続する場合の一体性判断
地下街が連絡通路により接続されている場合、所有者が異なる場合であっても、構造的・機能的に一体と認められる場合には一の地下街として取り扱われます。
一方、店舗が小規模で連続性がなく、独立した区画で管理されている場合は、準地下街としては扱われません。
準地下街に該当した場合の影響
準地下街に該当すると、消防法施行令別表第1(16の3)項の防火対象物として扱われます。
これにより、
・消火器
・スプリンクラー設備
・自動火災報知設備
・非常警報設備
・誘導灯
・ガス漏れ火災警報設備
などの設置基準が適用されます。
また、準地下街として取り扱われる地下階は、当該建築物単体で必要な消防用設備の設置義務も併せて適用されます。
まとめ
準地下街の該当性は、
・地下道との接続構造
・開口部面積40㎡基準
・歩行距離20mの範囲
・防火戸の有無
・防火区画の状況
を総合的に整理して判断されます。
名称や規模のみで決まるものではなく、構造・区画・管理形態を踏まえた法的整理が必要です。
地下道に面する地下階を有する建築物では、設計段階で準地下街該当性を確認することが重要となります。