屋内消火栓設備の技術基準|放水圧力・放水量・水源水量・同時使用を数値で解説

技術基準は「確実に消火できる性能」を担保するものです

屋内消火栓設備は、単に設置するだけでなく、火災時に確実な放水性能を発揮できるよう、放水圧力、放水量、水源水量等について技術基準が定められています。

設計においては、

  • 必要な放水量が確保されているか

  • 規定の放水圧力範囲に入っているか

  • 同時使用時の水量が足りているか

を順序立てて確認することが重要です。


放水圧力の基準

屋内消火栓の放水圧力は、ノズル先端において次の範囲に収まるよう設計する必要があります。

1号消火栓・広範囲型2号消火栓

  • 下限:0.17MPa以上

  • 上限:0.7MPa以下

2号消火栓

  • 下限:0.25MPa以上

  • 上限:0.7MPa以下

放水圧力が不足すると有効放水距離が確保できず、逆に過大となると操作性の低下やホースの取扱いに支障を生じるおそれがあります。


放水量の基準

各型式に求められる放水量の基準は次のとおりです。

  • 1号消火栓:130L/min以上

  • 2号消火栓:60L/min以上

  • 広範囲型2号消火栓:80L/min以上

易操作性1号消火栓については、基本的に1号消火栓と同等の放水性能が求められます。

放水量は、水源容量やポンプ能力の算定に直接影響するため、設計上の重要指標となります。


水平距離(有効放水範囲)

屋内消火栓は、当該消火栓から有効に放水できる水平距離が次の範囲となるよう計画します。

  • 1号消火栓:25m以内

  • 2号消火栓:15m以内

  • 広範囲型2号消火栓:25m以内

ここでいう水平距離は、ホースの物理長さそのものではなく、有効放水範囲として評価される距離である点に注意が必要です。


水源水量の基準

屋内消火栓設備の水源は、同時使用を想定した必要水量以上を確保する必要があります。

基本的な算定は次のとおりです。

1号消火栓

  • 2.6m³ × 同時使用個数(最大2)

2号消火栓

  • 1.2m³ × 同時使用個数(最大2)

広範囲型2号消火栓

  • 1.6m³ × 同時使用個数(最大2)

ここでいう「最大2」は、同時に使用される消火栓の想定数の上限を示しています。


同時使用の考え方

屋内消火栓設備では、火災時に複数の消火栓が同時に使用される可能性を考慮して、水源およびポンプ能力を設定します。

一般的には、同一防火対象物内で最大2栓の同時使用を想定して設計する考え方が採られています。

したがって、水源水量やポンプ吐出量の算定では、1栓分ではなく、同時使用分を乗じて計算する必要があります。


技術基準確認でよくある留意点

放水圧力とポンプ圧の混同

技術基準で示される放水圧力は、ノズル先端での値です。

ポンプ吐出圧とは一致しないため、配管損失等を考慮した設計が必要となります。


水平距離の誤解

水平距離はホース延長距離ではなく、有効放水範囲として評価される指標です。

ホース長のみで到達範囲を判断することは適切ではありません。


まとめ

屋内消火栓設備の技術基準では、放水圧力、放水量、水源水量、水平距離、同時使用の各要素について具体的な数値が定められています。

設計においては、単一の基準のみを満たすのではなく、これらの条件が相互に整合するよう総合的に確認することが重要です。

特に、水源水量は同時使用(最大2栓)を前提として算定される点や、放水圧力がノズル先端での値である点は、誤解が生じやすい部分であるため注意が必要です。

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