スプリンクラー代替区画とは何か|面積要件と開口部の考え方を整理
目次
スプリンクラー代替区画とは何か
スプリンクラー設備の設置を考える際は、建物の用途や階数だけでなく、区画の構成や開口部の条件をどのように満たしているかも重要になります。その中で押さえておきたいのが、スプリンクラー代替区画という考え方です。
スプリンクラー代替区画は、一定の条件を満たした区画によって、スプリンクラー設備の設置に関する取扱いを判断するためのものです。ただし、単に壁で区切られていれば足りるわけではありません。壁や床の構造、室内や廊下の内装仕上げ、開口部の大きさ、開口部に設ける戸の仕様などをあわせて確認する必要があります。
また、スプリンクラー代替区画は、どのような室でも一律に同じ効果を持つものではありません。室部分の条件、廊下部分の条件、複合用途防火対象物における取扱いなど、それぞれの場面ごとに内容が分かれています。そのため、面積だけで判断するのではなく、区画全体の条件を一体として確認することが大切です。
代替区画は一つの意味だけで使われているわけではありません
スプリンクラー代替区画を理解するうえで見落としやすいのは、代替区画の意味合いが一つではないという点です。代替区画という言葉からは、区画を設ければ一律にスプリンクラー設備の取扱いが変わるようにも見えますが、実際にはそう単純ではありません。
考え方としては、まず、スプリンクラーヘッドの設置対象部分から除外される場合があります。これに対して、スプリンクラー設備の設置基準面積から、当該区画された部分の面積を除外できる場合もあります。つまり、代替区画には、ヘッドの設置対象部分に着目する見方と、設置基準面積に着目する見方の二つがあるということです。
この違いは、区画計画を考えるうえで重要です。なぜなら、ある用途や条件では、代替区画として扱うことでヘッドの設置対象部分からは除外できても、設置基準面積からは除外されない場合があるからです。逆に、代替区画という言葉だけで判断してしまうと、面積算定の段階で誤解が生じるおそれがあります。
そのため、代替区画を考える際は、その区画があることで何が除外されるのかを確認することが必要です。ヘッドの設置対象部分の話なのか、設置基準面積の話なのかを分けて考えることが、内容を取り違えないために大切です。
室部分の条件は面積と開口部をセットで確認する必要があります
室部分の代替区画では、まず壁および床の区画が耐火構造であることが前提となります。さらに、室内の内装仕上げは難燃材料とされており、区画の外周だけでなく、内部の仕上げ条件も確認が必要です。
そのうえで、室の面積には上限があります。10階以下では200㎡以下、11階以上では100㎡以下とされており、同じ用途の室であっても階によって条件が異なります。特に高層階では上限面積が小さくなるため、階ごとに面積を確認することが欠かせません。
さらに重要になるのが開口部の条件です。室部分では、一の開口部の面積に上限があるだけでなく、複数の開口部を合計した面積にも制限があります。したがって、各開口部がそれぞれ小さいから足りるということではなく、合計面積まで含めて確認しなければなりません。
開放廊下がある場合は二方向避難と開口部の制限がポイントになります
開放廊下がある場合の例では、室から二方向避難ができることが条件として示されています。加えて、壁および床の区画は耐火構造、室内の内装仕上げは難燃材料とされています。
この場合、対象となる各開口部はそれぞれ4㎡以下であることが求められます。また、一定の開口部の組合せについては合計4㎡以下とされ、さらに対象となる開口部全体の合計は8㎡以下とされています。個々の開口部の上限と、複数を合わせた上限の両方が設けられている点が特徴です。
また、開口部の構造にも条件があります。対象となる開口部には防火戸の設置が求められ、開口部の位置や性質に応じて特定防火設備とされる部分があります。あわせて、防火シャッターは不可とされ、常時閉鎖または煙感知器連動閉鎖の仕様が求められています。
したがって、開放廊下がある場合は、室部分に求められる面積条件に加え、二方向避難、開口部面積、開口部の構造といった条件をあわせて確認することが必要です。
開放廊下でない場合も各開口部の面積と合計面積の確認が必要です
開放廊下でない場合の例でも、壁および床の区画は耐火構造、室内の内装仕上げは難燃材料とされています。
この場合も、対象となる各開口部はそれぞれ4㎡以下であり、複数の開口部があるときは、その合計面積が8㎡以下であることが求められます。したがって、開口部を複数設ける場合には、一の開口部ごとの大きさだけでなく、全体として面積制限の範囲に収まっているかを確認しなければなりません。
開口部の構造についても条件があります。対象となる開口部には、特定防火設備である防火戸の設置が求められ、防火シャッターは不可とされています。また、常時閉鎖または煙感知器連動閉鎖とすることが前提になります。
開放廊下でない場合は、外壁側の取扱いに違いがあっても、対象となる開口部については面積制限と構造要件の確認が必要である点に変わりはありません。代替区画として扱うためには、区画の成立条件を総合的に満たしていることが必要です。
廊下部分は準不燃材料と防火戸の条件を確認する必要があります
廊下部分の条件として示されている中廊下の例では、壁および床の区画が耐火構造であることに加え、廊下の内装仕上げは準不燃材料とされています。室部分が難燃材料で整理されているのに対し、廊下部分では準不燃材料が求められている点は押さえておきたいところです。
また、開口部の構造は特定防火設備である防火戸とされており、防火シャッターについては、廊下と階段とを区画する部分以外は不可とされています。さらに、常時閉鎖または煙感知器と連動して閉鎖するものとされています。
このほか、煙感知器連動閉鎖する防火戸を、居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路に使用する場合には、直接手で開くことができ、自動的に閉鎖する部分を有すること、幅が75cm以上であること、高さが1.8m以上であること、下端が床面から15cm以下であることといった条件が示されています。
廊下部分は避難経路としての役割を持つため、単に区画されているかどうかだけでなく、内装の仕様や戸の構造まで含めて確認することが必要です。
複合用途防火対象物では階ごとの取扱いが分かれます
複合用途防火対象物のうち、一定の条件を満たすものについては、特定防火対象物の用途に供される部分が存在する階と、存在しない階とで、スプリンクラー代替区画の扱いが分けられています。
11階以上については、スプリンクラーヘッドを設置するか、または規定に適合する防火区画を行うこととされています。さらに、この取扱いは10階以下の無窓階にも及ぶものとされています。これに対し、10階以下の階では、スプリンクラー設備を設置するか、またはスプリンクラー設備の代替区画とするかという考え方が示されています。
10階以下の階をスプリンクラー設備の代替区画として扱う場合は、特定防火対象物の用途に供される部分が存在する階では、防火区画を200㎡で見ます。一方、そのような部分が存在しない階では、防火区画を400㎡と読みかえる考え方が示されています。
このように、複合用途防火対象物では、どの用途に供される部分がどの階に存在しているかによって、区画の見方が変わります。建物全体を一括して考えるのではなく、階ごとの用途構成を確認しながら判断することが必要です。
代替区画が適用されない場合や効果が異なる場合にも注意が必要です
代替区画という言葉だけを見ると、区画を設ければ同じように扱われるようにも見えますが、実際にはそうではありません。代替区画の考え方には二つの見方がある一方で、用途や部分によって、その効果に違いがあります。
まず、代替区画の考え方は、いずれも地階または無窓階については適用されないものとされています。したがって、地階や無窓階に該当する部分では、他の階と同じ感覚で代替区画を考えることはできません。
また、対象物の用途によっては、代替区画として区画しても、スプリンクラー設備の設置基準面積からは除外されない場合があります。その一方で、スプリンクラーヘッドの設置対象部分からは除外できる場合があります。つまり、面積には反映されなくても、ヘッドの設置対象部分の考え方には影響する場合があるということです。
さらに、用途によっては、代替区画として扱っても、設置基準面積からも、ヘッドの設置対象部分からも除外されないものがあります。この点を見落とすと、区画を設けたことだけでスプリンクラー設備の要否が変わるように受け取ってしまうおそれがあります。
そのため、代替区画を考える際は、区画の構造や面積だけでなく、対象物の用途によってどの範囲にどのような効果が及ぶのかまで確認することが必要です。
スプリンクラー代替区画は面積だけでなく構造要件まで確認することが大切です
スプリンクラー代替区画を検討する際は、200㎡、100㎡、400㎡といった面積の数値が目につきやすいものです。しかし、実際には面積だけで成立するものではありません。壁および床が耐火構造であるか、内装仕上げが難燃材料または準不燃材料になっているか、一の開口部が4㎡以下であるか、複数の開口部の合計が8㎡以下に収まっているか、防火戸の仕様が適合しているかなど、多くの条件をあわせて確認する必要があります。
特に、開口部の構造については、特定防火設備である防火戸や防火戸の仕様、防火シャッターを認めない取扱い、常時閉鎖または煙感知器連動閉鎖といった要件が並んでおり、面積計算だけでは判断できません。区画図だけでなく、建具や仕上げの条件まで含めて確認することが大切です。
また、室部分と廊下部分では求められる条件が異なり、複合用途防火対象物では階ごとの用途によって取扱いも変わります。そのため、スプリンクラー代替区画は、面積が収まっているかどうかだけで考えるのではなく、どの部分をどの条件でどの区画として扱うのかを区別して判断することが求められます。
まとめ
スプリンクラー代替区画は、スプリンクラー設備の設置に関する考え方を押さえるうえで重要な概念です。ただし、その内容は単純ではなく、室部分、廊下部分、複合用途防火対象物のそれぞれで条件が細かく分かれています。
室部分では、10階以下200㎡以下、11階以上100㎡以下という面積条件に加え、一の開口部4㎡以下、複数の開口部の合計8㎡以下といった制限が設けられています。開放廊下がある場合には二方向避難も条件となり、開放廊下でない場合にも各開口部の防火戸仕様が求められます。廊下部分では準不燃材料や防火戸の条件が重視され、複合用途防火対象物では200㎡と400㎡の区分を階ごとに考える必要があります。
さらに、代替区画には、ヘッドの設置対象部分に関する見方と、設置基準面積に関する見方の二つがあり、対象物の用途によっては、そのどちらか一方にしか影響しない場合や、いずれにも影響しない場合があります。したがって、代替区画は、区画を設ければ一律にスプリンクラー設備の取扱いが変わるものとして捉えるのではなく、面積、構造、内装、開口部、避難経路、用途をあわせて確認しながら判断することが大切です。