スプリンクラー設備に関する改正後の運用とは何か|通知で示された取扱いを解説
目次
スプリンクラー設備に関する改正後の運用とは何か
スプリンクラー設備に関する基準を確認する際は、条文や省令の文言だけでなく、改正後の運用がどのように示されているかもあわせて確認することが大切です。制度改正が行われた場合には、規定の読み方や適用の仕方について、運用上の考え方が通知によって補足されることがあります。
スプリンクラー設備については、平成26年政令第333号による改正後の消防法施行令及び平成26年総務省令第80号による改正後の消防法施行規則の運用について、平成27年3月27日付・消防予第130号の通知で留意事項が示されています。改正後の基準を正しく理解するためには、この通知の内容もあわせて確認することが必要です。
この通知では、混在用途部分の有無の考え方、特定施設水道連結型スプリンクラー設備の取扱い、防火上有効な措置が講じられた構造を有する部分との関係など、設置の要否や設備の選択に関わる要点が示されています。そのため、単に改正があったという事実だけではなく、どのような場面で何を確認すべきかを具体的に押さえておくことが重要です。
混在用途部分の有無は床面積を合計して判断することとされています
通知では、スプリンクラー設備の設置基準の改正に関して、防火対象物に令別表第1(6)項イ(1)から(3)までに掲げる防火対象物の用途に供される部分が混在する場合の取扱いが示されています。
この場合、令第12条第1項第4号の規定の適用については、これらの部分の床面積を合計して、該当の有無を判断するものとされています。つまり、個々の部分をばらばらに見るのではなく、対象となる用途部分の床面積を合わせて判断するという考え方です。
この点は、建物内に複数の用途部分がある場合の判断に関わる重要な内容です。用途が複数に分かれているからといって、それぞれを独立して見るのではなく、通知で示された範囲については床面積を合計して判断することが必要です。
特定施設水道連結型スプリンクラー設備は基準面積1,000㎡未満が判断の基準になります
通知では、特定施設水道連結型スプリンクラー設備を設置することができる防火対象物の基準の改正についても示されています。
特定施設水道連結型スプリンクラー設備については、改正により、基準面積が1,000㎡未満の防火対象物に設置することができることとされています。ここで押さえておきたいのは、判断の基準が延べ面積ではなく、基準面積で示されている点です。
また、一の防火対象物に令別表第1(6)項イ及びロに掲げる防火対象物の用途に供される部分が併存する場合には、令第9条の規定により、それぞれの用途に供される部分を1の防火対象物とみなすこととされています。そのうえで、それぞれの用途に供される部分の基準面積が1,000㎡未満であれば、特定施設水道連結型スプリンクラー設備を設置することができるものとされています。
このため、特定施設水道連結型スプリンクラー設備の設置可否を判断する際は、建物全体を一括して見るのではなく、用途の併存の有無を確認し、それぞれを1の防火対象物とみなす取扱いが必要かどうかを見たうえで、各部分の基準面積が1,000㎡未満かどうかを確認することが大切です。
防火上有効な措置が講じられた構造を有する部分の取扱いも補足されています
通知では、防火上有効な措置が講じられた構造を有する部分についても、運用上の考え方が補足されています。
まず、規則第13条の5の2第2号イ及びロに規定する開口部には、配管等の貫通部であって、隙間を不燃材等で埋め戻したものに限るものや、防火ダンパーが設けられたダクトの貫通部は含まれないこととされています。したがって、開口部に該当するものを考える際は、単に壁や床を貫通している部分を広く含めるのではなく、通知で示された除外の考え方も踏まえて確認する必要があります。
また、規則第13条の5の2第2号ロに規定する「当該部分に隣接する部分」は、隣接する区域全域を指すものではないこととされています。たとえば、隣接する廊下全域をそのまま意味するものではないという点は、文言だけを読むと広く受け取りやすいため、通知で示された補足の意味は大きいといえます。
さらに、同号ロに規定する「スプリンクラー設備の有効範囲内」とは、前記の部分に令第12条第2項の規定に準じて設置したスプリンクラー設備の有効範囲をいうものとされています。なお、令第12条第2項の規定により居室等に設けたスプリンクラー設備の有効範囲にある場合は、別途スプリンクラー設備を設ける必要はないこと、また、令第12条第3項に規定する消防用設備等の有効範囲内である場合も同様であることが示されています。
このように、防火上有効な措置が講じられた構造を有する部分については、条文上の文言だけで判断するのではなく、開口部、隣接部分、有効範囲の意味を通知に沿って具体的に確認することが必要です。
改正後の運用は条文だけでは読み取りにくい部分を補うものです
法令や省令の規定は制度の骨格を示すものですが、個別の場面でどのように読めばよいかまでは直ちにわからないことがあります。改正後の運用に関する通知は、そうした場面で判断の手がかりを与えるものです。
特に今回示されている内容は、混在用途部分の有無を床面積の合計で判断すること、特定施設水道連結型スプリンクラー設備は基準面積1,000㎡未満を基準に考えること、防火上有効な措置が講じられた構造を有する部分については文言の意味を具体的に読み解く必要があることなど、条文だけでは読み取りにくい部分を補っています。
そのため、改正後の基準を確認する際は、条文や省令だけを切り離して読むのではなく、通知によって示された運用もあわせて見ていくことが大切です。
判断の際は用途・面積・構造・設備の種類をあわせて確認することが大切です
改正後の運用で示されている内容を見ると、スプリンクラー設備の設置を考える際には、一つの要素だけで判断することはできないことがわかります。用途だけ、面積だけ、区画だけ、あるいは設備の名称だけを見ても、十分ではありません。
まず、対象となる用途部分がどこに存在しているのかを確認し、必要に応じて床面積を合計して判断します。次に、特定施設水道連結型スプリンクラー設備を用いることができるかどうかを、基準面積1,000㎡未満という数値をもとに確認します。さらに、防火上有効な措置が講じられた構造を有する部分については、開口部、隣接部分、有効範囲の意味まで含めて確認しなければなりません。
このように、改正後の運用は、用途、面積、構造、設備の種類をあわせて確認することの重要性を示しているといえます。設置基準の判断では、こうした複数の要素を切り離さずに見ていくことが必要です。
まとめ
スプリンクラー設備に関する改正後の運用は、平成26年政令第333号による消防法施行令の改正及び平成26年総務省令第80号による消防法施行規則の改正を踏まえ、平成27年3月27日付・消防予第130号の通知で示されています。
この通知では、令別表第1(6)項イ(1)から(3)までに掲げる用途部分が混在する場合は、その床面積を合計して該当の有無を判断すること、特定施設水道連結型スプリンクラー設備は基準面積1,000㎡未満の防火対象物に設置でき、用途が併存する場合でもそれぞれの用途部分を1の防火対象物とみて各部分の基準面積が1,000㎡未満であれば設置できることなどが示されています。
また、防火上有効な措置が講じられた構造を有する部分については、開口部、隣接部分、スプリンクラー設備の有効範囲の意味が補足されており、条文の文言だけで広く解するのではなく、通知に沿って具体的に確認することが必要です。
したがって、スプリンクラー設備の改正後の運用を理解する際は、用途、面積、構造、設備の種類を切り離さず、通知で示された内容まで含めて確認しながら判断することが大切です。