スプリンクラーヘッドの種類と技術基準を解説|標準型・高感度型・小区画型・水道連結型・側壁型・開放型・放水型の違い
目次
スプリンクラーヘッドは用途に応じて使い分けられます
スプリンクラー設備に用いられるヘッドは、すべて同じものではありません。防火対象物の用途、天井の高さ、空間の形状、放水の方向、必要とされる散水範囲などに応じて、複数の種別が使い分けられています。
そのため、スプリンクラー設備を理解する際には、ヘッドの名称だけを追うのでは不十分です。それぞれのヘッドがどのような特徴を持ち、どのような場所に設けられ、どの程度の放水性能や水源水量が必要となるのかをあわせて確認することが大切です。
スプリンクラーヘッドには、閉鎖型に属する標準型、高感度型、小区画型、水道連結型、側壁型のほか、開放型、放水型があります。これらは形が違うだけではなく、適用される場所や必要な性能の考え方そのものが異なります。
標準型ヘッドは閉鎖型ヘッドの基本となる種別です
標準型ヘッドは、加圧された水をヘッドの軸心を中心とした円上に均一に分散する閉鎖型ヘッドです。感度種別が1種、又は有効散水半径が2.3mであるものが基本的な範囲とされています。
設置対象は、一般の防火対象物のうち舞台部、ラック式倉庫、地下街、準地下街を除く部分、指定可燃物を貯蔵し又は取り扱う部分、地下街、準地下街、さらにラック式倉庫です。一般の防火対象物では、耐火建築物と耐火建築物以外とで区分が設けられています。
また、ラック式倉庫に設ける場合には、ラック等を設けた部分について等級Iから等級IVまでの区分があり、ラックの高さや水平遮へい板の条件に応じて適用範囲が定められています。標準型ヘッドは最も基本的なヘッドですが、用途や空間条件に応じた細かな基準が設けられていることが分かります。
高感度型ヘッドは有効散水半径が大きい閉鎖型ヘッドです
高感度型ヘッドは、標準型ヘッドのうち、感度種別が1種であって有効散水半径が2.6m以上であるものです。標準型と比べると、より広い散水範囲を持つことが特徴です。
設置対象は、一般の防火対象物、指定可燃物を貯蔵し又は取り扱う部分、地下街、準地下街です。標準型と対象が重なる部分もありますが、散水半径が異なるため、設置間隔や必要な水量の考え方も変わります。
そのため、高感度型は単に標準型の代わりとして理解するのではなく、独立した種別として確認することが重要です。
小区画型ヘッドは個室や小規模な居室に適した種別です
小区画型ヘッドは、一般のヘッドより放水量は少ない一方で、放水角度は大きく、壁面にも散水効果があるものとされています。比較的小さな区画を防護することを前提としたヘッドです。
設置対象は、一定の用途区分に属する防火対象物又はその部分のうち、宿泊室、病室その他これらに類する部分です。談話室、娯楽室、居間、寝室、教養室、休憩室、面会室、休養室などが含まれます。
このように、小区画型ヘッドは、個室や比較的小規模な滞在空間を対象とする場面で用いられるものです。標準型ヘッドと同じ考え方で一律に扱うのではなく、小区画に適した散水特性を持つヘッドとして理解する必要があります。
水道連結型ヘッドは特定施設水道連結型設備に対応する種別です
水道連結型ヘッドは、小区画型ヘッドのうち、特定施設水道連結型スプリンクラー設備に必要とされる圧力及び水量に適合したものです。小区画型を基礎としながら、水道連結方式に対応した性能を持つヘッドとして位置づけられています。
対象となるのは、一定の防火対象物又はその部分で、特定施設水道連結型スプリンクラー設備を設置する部分です。設備方式とヘッド種別は切り離して考えるものではなく、一体として捉えることが大切です。
側壁型ヘッドは壁側から半円状に散水するヘッドです
側壁型ヘッドは、加圧された水をヘッドの軸心を中心として半円上に均一に分散するものです。標準型のように全周へ散水するのではなく、壁面側から室内へ向けて散水することを前提としたヘッドです。
設置対象は、一定の用途区分のうち、宿泊室、病室及び廊下・通路その他これらに類する部分です。フロントやロビー等も対象に含まれます。
この種別は、天井中央への設置が難しい場合や、壁側からの散水が合理的な空間に適しています。したがって、設置位置だけが異なるヘッドではなく、防護面積や必要性能の考え方も通常の天井型とは異なるものとして理解する必要があります。
開放型ヘッドは感熱部を持たないヘッドです
開放型ヘッドは、感熱部がなく、通常乾式配管に設けるものです。閉鎖型ヘッドのように、各ヘッドが個別に感熱して作動する構造ではありません。
対象となるのは、舞台部のほか、一定の防火対象物又はその部分のうち、基準面積と天井高さの条件に応じて定められた部分です。内容としては、基準面積が1,000㎡以上又は1,000㎡未満で、床から天井までの高さが3m以上10m以下の部分が対象となっています。
開放型は、通常の居室に設ける閉鎖型ヘッドとは用途が異なり、特定の用途や空間条件に応じて用いられる種別です。構造の違いが、そのまま設備全体の作動方式の違いにつながる点が特徴です。
放水型ヘッドは高天井部分に対応するための種別です
放水型ヘッドは、高天井部分に適した種別です。一般の防火対象物では、指定可燃物を貯蔵し又は取り扱う部分で床面から天井までの高さが6mを超える部分、一定用途部分で高さが6mを超える部分、又はそれ以外で高さが10mを超える部分が対象となります。
また、地下街では店舗で高さが6mを超える部分、地下街で高さが10mを超える部分、準地下街では高さが6mを超える部分が対象です。通常の高さを前提としたヘッドでは対応しにくい空間に適用される種別といえます。
高天井空間では、放水が有効に火災部分へ届くかどうかが重要になるため、放水型ヘッドは高さ条件に応じた性能を確保するための専用ヘッドとして理解することが必要です。
ヘッドごとに散水範囲や設置距離の考え方が異なります
スプリンクラーヘッドの技術基準では、どの場所に設けるかだけでなく、どこまで有効に散水できるかも重要です。
標準型では、2.3m以下、2.1m以下、1.7m以下などの水平距離が設けられています。高感度型や小区画型では、有効散水半径を基準とした考え方が採られており、小区画型では有効散水半径そのものだけでなく、その0.9倍や0.75倍を用いた基準もあります。
水道連結型と側壁型では、防護面積13㎡以下という条件が設けられ、側壁型では水平距離2.6m以下が基本です。開放型では1.7m以下、放水型では消防庁長官が定める距離によるものとされています。
このように、ヘッドの違いは名称や形状だけにとどまらず、防護範囲の考え方そのものにも及んでいます。
放水性能は圧力と放水量で定められています
スプリンクラーヘッドの性能は、圧力と放水量によって具体的に定められています。
標準型や高感度型では、基本的に 0.1MPa以上、80L/min以上 が求められています。ラック式倉庫では 140L/min以上 が必要です。
小区画型についても、基本は 0.1MPa以上、80L/min以上 です。水道連結型では 0.1MPa以上、50L/min以上、側壁型では 0.02MPa以上、15L/min以上 が基本となります。ただし、室内に面する部分の仕上げが準不燃材料以外の場合には、0.05MPa以上、30L/min以上 が必要です。
開放型では、用途に応じて 0.1MPa以上、80L/min以上 又は 0.02MPa以上、15L/min以上 が基準とされ、仕上げ条件によっては 0.05MPa以上、30L/min以上 が求められます。
放水型では、指定可燃物を貯蔵し又は取り扱う部分で 10L/min・m、その他の部分で 5L/min・m を基本とし、それ以外は消防庁長官が定める性能によるものとされています。
水源水量は同時開放数を基礎として算定されます
スプリンクラー設備では、ヘッド1個ごとの性能だけでなく、水源としてどれだけの水量を確保するかが重要です。このとき基礎となるのが同時開放数です。
同時開放数とは、水源水量を算定する際に、同時に開放すると想定するスプリンクラーヘッドの個数をいいます。
標準型や高感度型では、湿式の場合、必要な水源水量は 同時開放数×1.6m³以上 とされ、乾式又は予作動式では 同時開放数×1.5×1.6m³以上 とされています。
標準型・高感度型の同時開放数は、一般の防火対象物のうち(4)項、(16)項のうち(4)項があるものでは 15、地階を除く階数が10階以下のものでは 10、11階以上のものでは 15 です。指定可燃物を貯蔵する部分では 20、地下街又は準地下街では 15、ラック式倉庫では等級I・II・IIIが 30、等級IVが 20 とされています。
つまり、同時開放数が大きいほど、同時に作動すると見込むヘッド数が多くなり、その分だけ必要となる水源水量も大きくなります。
小区画型では有効散水半径によって同時開放数が異なります
小区画型についても、水源水量の考え方は同じで、湿式では 同時開放数×1.6m³以上、乾式又は予作動式では 同時開放数×1.5×1.6m³以上 とされています。
小区画型の同時開放数は、有効散水半径と用途区分、階数によって異なります。一般の防火対象物のうち(4)項、(16)項のうち(4)項があるものでは、有効散水半径が 2.6m の場合は 12、2.8m の場合は 11 です。地階を除く階数が10階以下のものでは、2.6m の場合は 8、2.8m の場合は 7 です。地階を除く階数が11階以上のものでは、2.6m の場合は 12、2.8m の場合は 11 となります。地下街又は準地下街でも、2.6m の場合は 12、2.8m の場合は 11 とされています。
このように、小区画型では、有効散水半径が大きい場合には、1個のヘッドで受け持つ範囲が広くなるため、同時開放数の考え方も変わります。
水道連結型・側壁型・開放型・放水型では水量の見込み方が異なります
水道連結型では、地階を除く階数が10階以下のものは 8×1m³以上、11階以上のものは 12×1m³以上 とされています。
側壁型では、基本となる水源水量は 1.2m³ です。ただし、室内に面する部分の仕上げを準不燃材料以外とした場合には、ヘッド設置個数に応じた別の基準が設けられています。
開放型では、舞台部であるかどうかや設置される階数に応じて、最大放水区域の個数又はヘッド設置個数を基礎に 1.6m³ を乗じて算定する考え方が採られています。仕上げ条件によっては 1.2m³ を基礎とする場合もあります。
放水型では、固定ヘッドを用いる場合は最大放水区域のヘッド数とヘッド放水量を基礎に 20分間 分、可動式ヘッドを用いる場合は放水量が最大となる可動式ヘッドを基礎に 20分間 分の水量を見込むこととされています。
同じスプリンクラー設備であっても、ヘッド種別が異なれば、水源水量の算定方法まで変わることが分かります。
スプリンクラー設備はヘッドの選定によって性能全体が変わります
スプリンクラー設備は、単にヘッドを配置すればよい設備ではありません。どのヘッドを用いるかによって、適用できる用途、必要な圧力と放水量、散水範囲、そして水源水量の考え方まで変わります。
標準型や高感度型は一般用途で広く用いられますが、宿泊室や病室などの個室には小区画型、水道連結方式には水道連結型、壁面設置が必要な空間には側壁型、特殊な作動方式を要する部分には開放型、高天井部分には放水型といったように、用途や空間条件に応じた選定が必要です。
スプリンクラー設備を理解する際には、「スプリンクラーヘッド」という一つの言葉でまとめるのではなく、どの種別がどの場所に適し、どのような性能や水量が必要になるのかまで含めて確認することが大切です。ヘッドの違いを正しく理解することが、設備全体の技術基準を把握する第一歩になります。