補助散水栓と2号消火栓の違いを解説|構造・性能・水源水量・非常電源の考え方
目次
補助散水栓と2号消火栓は似ているようで性格の異なる設備です
スプリンクラー設備とあわせて整理される設備の中に、補助散水栓と2号消火栓があります。どちらも人が操作して放水する設備として理解されやすいものの、対象となる防火対象物、起動方法、水源水量の考え方などには違いがあります。
そのため、名称や見た目だけで同じような設備と捉えるのではなく、それぞれがどのような場面を前提としているのかを分けて理解することが大切です。特に、どの防火対象物に設けるのか、どの程度の放水性能が必要なのか、水源をどのように見込むのかは、設備の性格を把握するうえで重要な要素になります。
補助散水栓はスプリンクラー設備を補完する設備です
補助散水栓の対象となるのは、(1)項から(16の3)項までの防火対象物です。対象範囲は広く、多くの用途区分の防火対象物が含まれます。
補助散水栓は、スプリンクラー設備の警戒部分を有効に補完するために設けることができる設備とされています。そのため、単独の放水設備としてだけではなく、スプリンクラー設備と一体で考えるべき設備として理解する必要があります。
この点は、後に見る水源水量の考え方にも表れており、補助散水栓の基準はスプリンクラー設備との関係を前提に組み立てられています。
2号消火栓は一定の建築物を除いて設ける設備です
2号消火栓は、一定の建築物を除いて設ける設備です。対象から除かれるものとしては、(12)項イ及び(14)項、さらに令別表第1に掲げる建築物その他の工作物で、指定可燃物(可燃性液体類を除く。)を危令別表第4で定める数量の750倍以上貯蔵し、又は取り扱うものが挙げられています。
このように、2号消火栓は補助散水栓のように広い範囲を一律に対象としているわけではなく、一定の用途や条件に該当する建築物は対象から除かれています。したがって、2号消火栓を採用できるかどうかは、まず対象区分の確認から行う必要があります。
放水性能の基本数値には共通する部分があります
補助散水栓と2号消火栓は、放水性能に関する基本数値には共通点があります。いずれも水平距離は 15m以下、放水量は 60L/min以上 とされています。
一方、放水圧力については違いがあり、補助散水栓は 0.25MPa〜1MPa、2号消火栓は 0.25MPa〜0.7MPa とされています。どちらも一定の放水能力を求められる設備ですが、圧力の上限値までは同じではありません。
このため、必要な性能を確認する際には、放水量だけでなく圧力条件まで含めて見ておく必要があります。
開閉のしやすさや弁の位置にも基準があります
補助散水栓、2号消火栓ともに、ノズルには容易に開閉できる装置付であることが求められています。また、開閉弁の高さは 1.5m以下 とされ、天井に設ける場合には自動式とすることとされています。
このような基準は、放水性能とは別に、実際に人が操作する設備としての使いやすさを確保するためのものです。人が扱う設備である以上、必要なときに確実に操作できる構成であることが前提になります。
起動方式には明確な違いがあります
補助散水栓の起動方法は、流水検知装置又は圧力検知装置により起動するものとされています。これに対し、2号消火栓では、開閉弁の開放又は消防用ホースの延長操作等と連動して起動できること が求められています。
この違いは、両設備の性格の違いを表しています。補助散水栓はスプリンクラー設備との関係の中で構成される性格が強く、2号消火栓は人の操作を前提とした消火栓設備として整理されていることが分かります。
表示灯と表示方法は同じではありません
位置表示灯については、補助散水栓、2号消火栓ともに赤色の灯火とされています。
ただし、始動表示の考え方は両者で異なります。補助散水栓ではなし(自動警報装置)とされているのに対し、2号消火栓では消火栓箱の内部又はその直近に設けることとされています。
また、消火栓箱の表示については、補助散水栓では「消火用散水栓」又は「消火栓」、2号消火栓では「消火栓」と表示することとされています。どちらも識別のための表示が必要ですが、表示の内容や考え方には違いがあります。
ホースには操作性と有効放水範囲が求められます
補助散水栓と2号消火栓のホースは、いずれも1人で操作することができるものであることが必要です。あわせて、保形ホースであること、延長及び格納の操作が容易にできるものとして定められた基準に適合するよう収納されていることも求められています。
また、ホースの長さについては、ホース接続口からの水平距離が15mの範囲内の当該階の各部分に有効に放水することができる長さ が必要です。
ただし、補助散水栓については、スプリンクラーヘッドが設けられていない部分に補助散水栓を設ける場合は、この限りではない とされています。この点は、補助散水栓がスプリンクラー設備を補完する設備であることを示す特徴の一つといえます。
配管の基準にも違いがあります
立上がり管材質について、補助散水栓では、摩擦損失等により求められるもので、JIS G3442等に定めるものとされています。これに対し、2号消火栓では、呼称32mm以上で、JIS G3442等に定めるものとされています。
つまり、補助散水栓では必要性能に応じて求められる条件が前面に出ているのに対し、2号消火栓では管径に関する基準がより明確に示されているという違いがあります。
水源水量の考え方は補助散水栓と2号消火栓で異なります
補助散水栓の水源水量は、スプリンクラーヘッドの個数に応じて定められる数を基礎として考え、同時開放数×1.6m³ により見込むこととされています。
同時開放数とは、水源水量を算定する際に、同時に開放すると想定するスプリンクラーヘッドの個数をいいます。
ここからも分かるように、補助散水栓の水源水量は、補助散水栓そのものの個数ではなく、スプリンクラー設備側の考え方を前提として定められています。なお、運用上は、補助散水栓用として加算を要しない とされています。
これに対し、2号消火栓の水源水量は、1.2m³×消火栓設置個数(最大2) とされています。つまり、補助散水栓がスプリンクラーヘッド数を基礎として水量を見込むのに対し、2号消火栓は消火栓の設置個数を基礎として水量を見込む点に明確な違いがあります。
非常電源の考え方は共通しています
非常電源については、補助散水栓、2号消火栓ともに、非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備、燃料電池設備 が挙げられています。
対象となるのは、特定防火対象物で延べ面積 1,000㎡以上 のものとされており、小規模特定用途複合防火対象物は除かれています。非常時においても設備が確実に作動することを確保するため、電源についても一定の基準が設けられています。
補助散水栓は補完設備、2号消火栓は消火栓設備として理解することが重要です
補助散水栓は、放水設備という名称を持ちながらも、その役割や水源水量の考え方はスプリンクラー設備と強く結びついています。警戒部分を有効に補完するために設けることができる設備とされている点からも、単独の消火栓設備として捉えるだけでは十分ではありません。
一方、2号消火栓は、1人で操作できる消火栓設備としての性格が明確であり、水源も消火栓設置個数を基礎として見込まれています。両者は一見似た設備に見えても、前提となる設備思想は異なります。
補助散水栓と2号消火栓は別の基準で理解する必要があります
補助散水栓と2号消火栓は、どちらも人が操作して放水する設備として捉えられがちですが、対象となる防火対象物、起動方式、表示方法、配管、水源水量の考え方などに明確な違いがあります。
特に重要なのは、補助散水栓がスプリンクラー設備を補完する設備として整理されているのに対し、2号消火栓は消火栓設備として独自の基準で構成されている点です。基準を確認する際には、単に数値だけを比べるのではなく、その設備がどのような役割を前提として設けられているのかまで含めて理解することが大切です。