閉鎖型スプリンクラーヘッドの選び方とドレンチャー設備の技術基準を解説
目次
閉鎖型スプリンクラーヘッドは取り付ける場所の周囲温度に応じて選定します
閉鎖型スプリンクラーヘッドは、どの場所にも同じものを取り付けるわけではありません。取り付ける場所の最高周囲温度に応じて、適切な標示温度のヘッドを選ぶ必要があります。
これは、通常時の温度環境に対して不適切な温度区分のヘッドを用いた場合、平常時に不要な作動を招いたり、反対に火災時の作動に影響したりするおそれがあるためです。そのため、閉鎖型スプリンクラーヘッドの選定では、設置場所の温度条件を踏まえて標示温度を決めることが基本となります。
最高周囲温度39℃未満の場所では標示温度79℃未満のヘッドを用います
取り付ける場所の最高周囲温度が 39℃未満 の場合は、標示温度が 79℃未満 の閉鎖型スプリンクラーヘッドを用います。
一般的な屋内空間ではこの区分に当てはまる場面も多いと考えられますが、実際には天井付近の温度上昇や設備機器の熱の影響を受けることもあります。したがって、室全体の平均的な温度感覚ではなく、実際の取り付け位置の温度条件に基づいて判断することが必要です。
周囲温度が高くなる場合は標示温度も引き上げて選定します
取り付ける場所の最高周囲温度が 39℃以上64℃未満 の場合は、標示温度が 79℃以上121℃未満 のものを用います。さらに、最高周囲温度が 64℃以上106℃未満 の場合は 121℃以上162℃未満、106℃以上 の場合は 162℃以上 のものを選定します。
このように、取り付ける場所の温度が高くなるほど、それに対応する高い標示温度のヘッドを選ぶことになります。閉鎖型スプリンクラーヘッドの選定は、周囲温度との対応関係を押さえたうえで行う必要があります。
閉鎖型ヘッドの選定は平常時と火災時の両方を考えて行います
閉鎖型スプリンクラーヘッドの選定では、平常時に不必要な作動を起こさないことと、火災時に適切な温度で確実に作動することの両方を考える必要があります。
標示温度が低すぎれば通常環境の熱の影響を受けやすくなり、反対に高すぎれば火災時の作動が遅れるおそれがあります。そのため、取り付ける場所の最高周囲温度に応じて、定められた区分の中から適切なものを選定することが重要です。
ドレンチャー設備は火炎やふく射熱を遮る延焼防止設備です
ドレンチャー設備は、片側散水ヘッドから水を放射し、水の壁をつくることで火炎やふく射熱を遮る延焼防止設備です。
一般的なスプリンクラー設備が火災の発生部分に対して散水する設備であるのに対し、ドレンチャー設備は開口部などに沿って放水し、延焼を防ぐことを主な目的としています。そのため、通常の閉鎖型スプリンクラー設備とは目的も構成も異なる設備として理解する必要があります。
一定の開口部ではスプリンクラー設備を設けないことができる場合があります
防火対象物の10階以下の部分にある開口部で、防火設備として定められたものが設けられている開口部については、一定の条件のもとでスプリンクラー設備を設けないことができるとされています。
このような開口部の防護に関連して、ドレンチャー設備が位置づけられています。つまり、ドレンチャー設備は、開口部に対する延焼防止を目的とした設備として理解するのが適切です。
ドレンチャーヘッドは開口部の上枠に2.5m以下ごとに設けます
ドレンチャーヘッドは、開口部の上枠に、当該上枠の長さ 2.5m以下ごとに1個 設けることとされています。
これは、開口部に沿って連続的に水の壁を形成するための基準です。開口部全体にわたって必要な防護を行うためには、一定の間隔でヘッドを配置し、水の幕が途切れないようにすることが求められます。
ドレンチャーヘッドの放水圧と放水量は先端における値で考えます
ドレンチャーヘッドの放水圧及び放水量は、N個又は5個を同時に放射した場合 を基準として考えます。ドレンチャーヘッドの先端において、放水圧は0.1MPa、放水量は20L/min です。
ここでいう N は、水源水量の考え方とあわせてみると、設置個数が5個以下の場合の設置個数を指すものとして理解できます。設置個数が少ない場合にはその個数で、設置個数が多い場合には5個を基準として性能を考える構成です。
ドレンチャー設備の水源水量は設置個数を基礎に算定します
ドレンチャー設備の水源水量は、ドレンチャーヘッドの設置個数を基礎として算定します。考え方としては、(N個又は5個)×0.4m³ です。
ただし、設置個数が 5を超えるときは5 として扱います。したがって、設置個数が5個以下であればその個数に応じて計算し、5個を超える場合には 5個×0.4m³ を基礎として水源水量を見込むことになります。
この基準から、ドレンチャー設備では設置個数に応じた必要水量を確保しつつ、算定上は5個を上限として考える仕組みが採られていることが分かります。
加圧送水装置は点検しやすく被害を受けにくい場所に設けます
ドレンチャー設備の加圧送水装置は、点検に便利で、かつ火災の災害による被害を受けるおそれの少ない場所に設けることとされています。
設備は非常時に確実に作動することが必要ですが、それと同時に、平常時の点検や維持管理がしやすいことも重要です。そのため、設置場所についても実際の運用を踏まえた基準が設けられています。
制御弁は階ごとに設け、設置高さにも基準があります
制御弁は、防火対象物の階ごとに設け、床面からの高さは 0.8m以上1.5m以下 とされています。
この基準は、操作のしやすさと管理のしやすさの両方を考えたものです。どの階の設備を制御する弁であるかを明確にしつつ、必要なときに操作しやすい高さに設けることが求められています。
ドレンチャー設備は通常のスプリンクラー設備とは異なる考え方で設けられます
ドレンチャー設備の技術基準を見ると、この設備が通常のスプリンクラー設備とは異なる目的で設けられていることが分かります。通常のスプリンクラー設備が火災部分への散水を主な目的とするのに対し、ドレンチャー設備は開口部に沿って放水し、水の壁を形成することで火炎やふく射熱を遮ることを目的としています。
そのため、ヘッドの設置位置、同時放射の考え方、水源水量の算定方法、制御弁の設置方法なども、一般のスプリンクラー設備とは異なる構成となっています。名称だけで同じように捉えるのではなく、延焼防止設備としての役割を中心に理解することが大切です。
閉鎖型ヘッドの選定とドレンチャー設備はそれぞれ別の目的で基準が設けられています
閉鎖型スプリンクラーヘッドの選定では、設置場所の最高周囲温度に応じて適切な標示温度を選ぶことが重要です。これは、平常時の安定性と火災時の確実な作動を両立させるための基準です。
これに対し、ドレンチャー設備では、開口部の延焼防止を目的として、ヘッドの設置、放水圧、放水量、水源水量、加圧送水装置、制御弁などに関する基準が定められています。同じスプリンクラー設備の技術基準に含まれる内容であっても、目的と構成は異なるため、それぞれの役割に沿って理解することが大切です。